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徳川吉宗の母系を辿る①──紀州藩士に巨勢氏は存在したか

 歴史雑記104
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はじめに

 少し前から調べていたことを、また不定期に更新していこうと思う。
 テーマは、「暴れん坊将軍」こと徳川吉宗の母系である。
 吉宗については大河ドラマ『八代将軍吉宗』で幼少期についても描かれ、その母・浄円院は山田邦子が演じた。
 大河では浄円院の俗名は「お紋」が採用されていた。また、実家は豪農であり、浄円院は和歌山城の湯殿番をつとめ、そこで光貞の手がついて側室となったという逸話を採用している。
 この逸話の真偽もいずれは確かめたいところだが、まず今回は、浄円院の出自について、いまなお通行している説をひとつ否定し、そのうえで新しく問題提起をしておきたい。

古代の巨勢氏について

 浄円院は巨勢(こせ)氏の出自であるという。
 このこと自体は、父・利清が巨勢を名乗っていることから、そう言ってもよいだろう(詳しくは次回以降述べる予定である)。
 ただ、その巨勢氏の系譜を追うことは容易ではない。
 そもそも、巨勢氏は古代豪族として我が国の歴史に姿を現す。

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