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雑記1007:忙中仕込みあり
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9月半ばからこっち、『神武天皇伝承の古代史』の校了や販促や支払い作業、決算に伴う膨大な事務作業、終わりの見えない戦争、中国の景気後退、大きく変動する地球の気候、上昇する一方の物価などもろもろにより、なかなか身動きが取れなくなっている。
これを書いているいま現在も、まだ混乱の渦から抜け出したとはいえない状態ではあるのだが、それはそれとしてレギュラーのお仕事を進めたり、新しい原稿を読んだりもしている。
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弊社のような、半分個人事業主が法人成りしたような会社の場合、常に複数の仕事を同時に進めなければならない。
ひとつの仕事に専念したいのは山々だが、そうは問屋が卸さない。
原稿を読んでいる最中に注文の電話もかかってくるし、書店さんにFAXを送りながら猫社長と遊ばないといけなかったり、決算をやりながら次の本の仕込みもしないといけない。
会社というのはキャッシュフローが大切であるから、特にキャッシュの薄い零細版元は、一冊校了して休んでいるとすぐに残高がおわんぬしてしまう。
費用と売上のバランスを取りながらやっていく必要がある。カイジのように鉄骨を渡っている感じだが、慣れたので僕はもう麻痺してしまった。
まあ、毎日キャッシュフローの心配をしていても売上は増えないし、そもそも発狂してしまうだけなので、期ごとの計画を立てたら、あとはたまに「まだ金あるな……」くらいでいい。実際そのくらいしかやる余裕がないというのが正直なところである。
それなりに健全にやっていれば、「そろそろ金がなくなってきたな……」くらいで債務も減っていて、次が借りられる。
かくして「絶対に追いつかれてはいけないアキレスと亀」が続いていくわけである。
存続している会社というのは、亀(経営者)がアキレスに追いつかれていない、逆におわんぬしてしまった会社は、亀がアキレスに追いつかれてしまったと形容できるだろう。
なお、アキレスと亀はあくまでもパラドクスなのであって、実際はアキレスは無数の亀に追いついて踏み潰してきた。
僕もそのうち追いつかれるかもしれない。まあ、そのときはそのときである。
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仕込みの話をしようと思ったのだった。
経営者としての仕込みと編集者としての仕込みは似て非なるところがある。
ただし、編集者が経営をする場合は、それをある程度一致した方向性で運用していく必要が生じる。
いまは深入りしないけれども、バランスシートと本の損益分岐表は親戚であり、けっこう付き合いがある。
出たとこ勝負にならない損益分岐表をつくるのも一種の技術であり、「デッドボールでも塁に出る」くらいの気持ちで僕は本を企画している。
いまは来年出す本について先に損益分岐表を作っている。出版業界ではヘンテコなやり方だと思うけれども、僕はサラリーマン編集者ではないので、「あっ、制作費使いすぎちゃった……」みたいなことは、亀としてのおわんぬに直結する。
まずはおわんぬしないように、「おわんぬしなければなんでもできる」の精神で、振り逃げでも出塁しいくつもりである。
10ゲーム10ゲーム、後藤の振り逃げ……。
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