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サルを信じない

「マレーシアでは、進化論ってどういう扱いをされてるの?」

この質問を受けてから、実態が気になって気になって仕方がなくなった。

あれ、確かにみんなどう思っているのだろう。
そもそも、科学と宗教って共存できるのか。

日本にいたら疑問にすら思わないことである。


私たち日本人にとって、

"サルが進化してヒトになった"

という進化論は、信じる信じないの問題ではなく、もはや一般常識である。

しかし、イスラム教を信仰するムスリムにとっては、クルアーンに書かれてある通り

"神が人間を創った"

というのが一般常識なわけである。


普段の生活の中で彼らの宗教観を垣間見ることはよくある。

しかし、信仰に相反するようなことについて深掘りしたことはほとんど無かった。

失礼かもしれないし、嫌われたくないし。

いや、でもこのままだとモヤモヤしすぎて死にそう。

性格上、好奇心の赴くままに生きていたいのである。


それからは隙あらば

「進化論と創造論どっちを信じてる?!」

と食い気味で質問する日々が始まった。

(若干うざがられる日もあれば、イスラム教の教えを1時間ほど説かれる日もあった…)


結果としては、進化論を支持している人は1人もいなかった。

もちろん彼らはムスリムなので予想通りの結果である。

(ただし、これは私が聞いた人のみの結果。マレーシアにも進化論を支持している人は少なからずいる。)

色々な人に質問する中でひとつわかったのは、

科学とイスラムは矛盾しない。

と考えている人が多いということ。

だいたいどんな人に聞いても、「科学の進歩には賛成だよ!」と返ってくる。

そしてその後に

「クルアーンは科学のガイドブックだから」
「神様が世界を創って、人間はそれを分析しているだけ」
「神様が見えないのは、空気が見えないのと同じ」

と付け加えられる。

今まで神様を信仰したことない私からすれば、全く不思議な思考回路である。

進化論を否定している時点で思いっきり矛盾してるじゃん、と思うわけである。


また新たな疑問が増えてしまった。
気になって仕方がない症候群なので止むを得ず調べる。


20世紀半ばには科学の進歩を肯定するムスリムが多数派になる。(欧米に置いてけぼりにされないため)

それまでは完全拒否だったらしい。

そして"科学の成果だけ"を取り入れ始めた。
つまり、根本の考え方は置いといて、技術だけを取り入れるということ。

この結果、近代科学の「真理」でも、明らかにイスラムの教えに反するものは認めませんということに。

クルアーンの教えと真っ向から対立する進化論の否定は、その典型なので納得である。

「基本的には科学の進歩に賛成だけど、明らかに対立する事象が出てきたらその都度判断していくよ!」

ということだ。


マレーシアにおいて、学校で進化論に沿って生物を教えるところはほとんど無いという。

あくまで進化論は知識としての理解といったところだろうか。

もちろん、どこまでを科学として理解し、どこまでを信仰とするかは人それぞれで変わってくる。

そこを理解することが、科学と宗教の共存を知る上でポイントになるような気がした。

#イスラム教 #ムスリム #科学 #マレーシア