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ふたつの教科書
マレーシアに来て初めて知ったことがある。
それは、
マレーシアは日本に占領されていた歴史がある
ということ。
私にとっては、衝撃の事実、そして全くの初耳であった。
(ろくに受験勉強をしてこなかった上に、留学前に最低限の知識すら付けて来なかったことまでバレてしまった)
簡単に説明すると、
第二次世界大戦において、日本は資源を獲得する必要があった。
そのために、欧州の植民地であった東南アジアを侵略することに。
その際に日本は「アジア人のためのアジア」というプロパガンダを掲げる。
つまり、マレーシアにとって日本軍は、イギリス支配からの救世主として現れたわけである。
そんなこんなで、当時イギリスの植民地であったマラヤ連邦(マレー半島9州とペナン・マラッカ)をたったの55日間で制圧してしまった日本。
まあ好き勝手暴れるわけである。
特に中華系マレー人への差別・弾圧はひどいものだった。
この辺りは、知れば知るほど「日本それはないわ」と思うことばかりである。
本性を現した日本に、マラヤ連邦の人々は対抗を開始。
日本が第二次世界大戦に負けたことにより、3年間続いた支配は終了する。
その後、イギリス統治に戻ったマラヤ連邦だが、1957年に独立。
そして1963年にマレーシアが成立するという流れである。
(だいぶ端折った)
いや、お前こんな重要なこと知らないでよく来たな。
完全にただの勉強不足である。
そういえばこんなこともあった。
マレーシアの歴史の授業で先生が言う。
「じゃあそこの日本人、この歴史についてどう思う?」
日本軍が中華系マレー人を拷問している写真をいくつか紹介した後だった。(どれも見てられないものばかり)
他にこの授業を受講しているのは、ほとんどが中国とインドネシアからの留学生である。
日本はインドネシアも同タイミングで侵略している。
え、この流れで私にそれ聞くの?
なんとも気まずい瞬間であった。
日本人は私だけなので、彼らの視線を気にして、当たり障りのないことを答えた気がする。
日本の教科書とマレーシアの教科書では、この歴史に裂く分量が全く違う。
された側とした側の違いだろうか。
与えた影響の大きさの違いだろうか。
そして当たり前だが、日本に好意的な書き方はされていない。
それを踏まえると、マレーシアが親日国家であることが疑問で仕方ない。
現在の首相が親日家なのは有名な話で、その影響は少なからずあるだろう。
彼が過去に打ち出した「ルック・イースト政策」は、日本を見習い経済成長を遂げようというものだった。
また、日本の"戦争をしない憲法"を高く評価している。
「歴史は歴史だからね。でも私は日本が1番好き!」
マレー人の友達に言われた言葉である。
もちろん彼女に関しては、漫画やアニメといったポップカルチャーの影響も大きいとは思う。
しかし、
自国を侵略した国から学ぼうとする姿勢に感心しつつも、よく割り切れるな、というのが素直な感想だ。
中国や韓国とはそういった関係が築けていないのはなぜだろう、とも思う。
やっぱり歴史は調べれば調べるほど疑問が出てくる。全く困ったものである。
まだまだ勉強が必要そうだ。