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町めぐり①:コーヒースタンド・焙煎場『ai coffee』さん

旅のお供は気がつくといつもコーヒー。自分の強い趣向でも眠気を覚ますつもりで選んでいるのでもない、なぜか目の前にコーヒー屋さんが現れるのだ。


信濃大町の駅を出て商店街に沿って北へ歩き10分ほど、小道に逸れたところにひっそりと佇むコーヒースタンド・焙煎場の『ai coffee』さんを訪れる。

扉を開けると木々で造られた空間が広がり、改めて山々に囲まれた土地に来たことを思いだす。手入れされながら長く使われ続けているのだろう、新しすぎる木材のように互いに気遣いする感じも、古すぎてくたびれた感じもどちらもなく思わずくつろぐ。

お店の奥で『愛を淹れよう』とささやくボード

メニューにざっと目を通しながら、フレンチコーヒーが目に留まる。聞けば多めにオイルを含む淹れ方なのだそう。山間の風の吹き続ける土地で少し乾きはじめた肌にぴったりかもしれない、と注文をお願いする。淹れたてのコーヒーは、まろやかさと雑味の全くない軽やかさに溢れている。地下に流れる北アルプスの水と合わさっての味なのだ。


人が途切れたタイミングで、たまたまお店のスタッフの方とふと会話が始まる。

コーヒー豆が果実であること、人の手で収穫され、太陽の光で乾かしてから選定していること(生鮮食品だから雑味の出る腐りかけの豆は選定されない)。生産者さんの顔が見えやすく、品質と流通が保たれ持続性のある「スペシャルティコーヒー」を選んでいること。海の向こうの国々からバッグに詰まって届いたコーヒー豆は、ここで焙煎され挽かれ抽出されてはじめてコーヒーというドリンクになる。話もコーヒーの香がかき立てる想像力も止まることを知らない。

ドリンクであるとともに、このプロセス自体を「コーヒー」と呼んでもいいのではないか。そう思いくらい適切に手間と時間が掛けられているものを体はしぜんと信頼する。味わいよく感じ心まで温まり、午後過ぎの西日が気持ちいい。

コーヒーを味わう時に気がつく点はいつも違い、点と点がつながり線になることもあれば、解かれて新たな点と繋がることもある。次に友人が訪れる時にはどんなストーリーが聞こえるのだろうか、どこまでも繋がってゆく物語の続きが待ち遠しい。

 *今回 訪れた場所*
    ai coffee
    〠398-0002 長野県大町市大町2553-1
    営業時間はInstagramに詳細掲載とのこと


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