大学で福祉を学んで考えた「より良く生きる」こと。
「大学で何を学びましたか?」と聞かれたら、「福祉です!」と言えるくらいには、福祉を学び続けた4年間だったように思う。
「なんで福祉なの?」「4年制大学で珍しいね」なんて、たくさん言われながら...。
それでも、大学では、福祉を学んで良かったと思えることばかりだった。
資格取得と学部選択の高校時代
高校生の時、田舎出身の私は、親に「産休・育休を取っても好条件で再就職できるように、資格があった方がいいんじゃない?」と言われていた。(今思えば、男女差別なような気もする...)
明確になりたい職種があった訳でもなかったこともあり、どの学部でどんな資格を取れるのか、探していた。
そして、「社会福祉士」の資格を見つけたことが始まりだった。
詳しく調べていくと、日本で困難を抱える在日外国人の方にも支援を行うことを知った。
当時シンガポールに住んでいた私は、自分と同じ在留外国人の住みやすい環境を、日本で実現したいと考えた。
そして、この資格取得を志望理由を掲げ、志望学部に進学を決めた。
「福祉を学びたい」と思った大学入学前の出来事
そんな理由で選んだ学部と資格取得。
しかし、その後に福祉を学びたいと強く思ったきっかけがあった。
それは、中山七里さん作の「護られなかったものたちへ」の小説を読んだことだった。
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とにかく衝撃だった。
当時から自覚のあるほど恵まれた環境だった自分と、生活困窮や生活保護のスティグマに苦しむ登場人物。
様々な環境にいる人に目を向けられる自分でいたいと強く願った。
4年生総合大学で福祉を学ぶ日々
大学に進学してからは、資格の必須科目となる授業を履修した。
でも、そのどれもが「国試合格」のための授業ではなく、
どんな支援体制が必要なのか、どう関わるべきか、どんなアプローチ方法があるか、考える授業ばかりだった。
そして、様々な課題を抱える福祉はこれから変化が必要で、その一端を担って欲しいという思いを多く感じ、「福祉に携わりたい」「福祉は面白い」と思うことが出来た。
そして、4年制の総合大学だからこそ、福祉に限らず幅広い学問の授業を取ることが出来た。
グローバル化、医療工学、ストレスマネジメント、東南アジアの歴史、リーダーシップ、ダイバーシティ...
社会全体や対象者個人について正しく理解し考えるためには、幅広い知識が必要である。
この4年間を通して、広い視野を持ち、大きな枠組みを多面的に考えられるようになったと思う。
ボランティアを通して体感した福祉の現状と自分の未熟さ
私が、大学生活で最も力を入れたことは、ボランティアだった。
・日本語学習支援のボランティア
・子供の居場所作りのボランティア団体の立ち上げと運営
この2つの経験を通して、大学の授業で学んだ知識が「机上の空論」になっていたことに気付かされた。
授業でも多く取り上げられていた、貧困・障害・ヤングケアラー・虐待…
こんな社会問題の数々を実際に直面している当事者の方々が、自分と同じ地域にいる。
ボランティアを通して関わったことで、痛感したことがたくさんあった。
本当の意味で理解しきれていなかったことに気がついた。
大学生で福祉を学んで得たことは、「当事者意識」だった。
私が大学生活で一番得たことは、「当事者意識」だと思う。
福祉における問題や個人の抱える課題は、私自身は経験したことのないことが多かった。
だけど、実際に当事者の方からお話を聞いたことや関わった体感を通して、「他人事」としてではなく「自分事」として捉えられるようになった気がする。
講義中のディスカッションや友達との会話、ボランティアメンバーとの話し合い…、社会の様々な問題について考え、意見を交わす機会が多かったからこそ、「当事者意識」を持って考えられるようになった。
今は、誰かの「より良く生きる」ことに貢献したい。
大学生活を通して知った様々な生活課題や社会問題、それらに直面しながら生きる人々の存在…。
そんな人々がよりよく暮らせる日常と社会の実現に貢献したい。
今の自分が直面していない問題も、もう他人事とは思えない。
同じ地域・社会に当事者の方々がいること、いつか自分も同じ問題に直面するかもしれない…。
だからこそ、福祉に携わりたいと思ったし、いつか変化をもたらせられる存在になりたいと思った。
これから始まる社会人生活。
新社会人を目の前に、この大学4年間で感じたことと今の思いをここに残しておこうと思います。