香川と、うどんと、ひとり旅
昔、青春18切符でうどんを食べに香川へ行った。
駅員さんが懇切丁寧に道順を教えてくれて、知識のない貧乏学生の私には仏様のように映った。
東京から香川への道のりの、あまりの長さに
「なんで私、香川にしたんだろう。大阪だったら、もう着いたのに」
とこの旅をもっぱら否定するような感情がつどつど湧いた。
私には、一度思いついたら大童に、猪突猛進する悪癖があった。
到着したのは夜の8時ごろ。
どこの店も閉まっている中、唯一口にできたのがカレーうどんだった。
香川に到着し、初めて口にしたのが「カレーうどん」。
これはうどんマニアからは怒られそう。
次の日から朝早く起きてうどん屋さんをはしごした。
帰り、鈍行電車の中で揺られながら、私は思った。
「私、そんなにうどん好きじゃないな」
うどんよりそばの方が好きだということが、
この旅でわかった。
今度はそばを食べに長野にでも行こうと思う。