札幌テレビの挑戦 〜「MODRINAE HOKKAIDO」で育む森づくりの輪〜
ソマノベースは、北海道庁や企業と連携し、オフィス内で苗木を育て、その後に北海道の森林へ戻す取り組み「MODRINAE HOKKAIDO」を推進しています。
この実証実験は、企業や従業員が日常業務の中で苗木を育てることで、森とのつながりを実感し、環境保全の意識を高めることを目的とし、道内の落葉広葉樹を室内で育苗することが出来るのかを皆さまのご協力のもと、1年間行ってきました。
実証実験開始から1年間をむかえ、皆さまの苗木を山に還す前に、皆さまに取り組んでいただいた声をお聞きしました。
今回の記事では、札幌テレビ放送株式会社(STV)SDGs推進室マネージャー 急式 裕美さんにインタビューを行い、参加のきっかけや苗木の育成を通じて得られた気づき、そして未来への想いについてお話を伺いました。
ーどのようなきっかけでMODRIAEに参加されたのでしょうか?
当社は国連「SDG メディア・コンパクト」という枠組みに参加しています。これは、放送局や出版社などのメディアが協力してSDGs達成に向けた情報発信を行う取り組みです。その一環として、2021年にSDGs推進室を設置しました。
放送局として、商品を製造するわけではない私たちにとって、「SDGsのためにできること」とは何かを模索する中で、道内のSDGsに取り組む企業様を紹介し、企業同士やお客様を繋げるハブになることを目指してきました。また、防災やアイヌ文化といったテーマで教育イベントも実施し、地域に根ざした活動を行ってきました。
そんな中で北海道コカ・コーラボトリング様から「MODRINAE HOKKAIDO」を紹介されました。苗木を育てて植林することで土砂災害を防ぐという発想に新鮮さを感じました。特に北海道は土砂災害が多い地域でもあります。これまでは情報を伝えることが中心でしたが、この活動なら自分たちでも実際に手を動かして取り組めると思い、参加を決めました。
ー実際に導入されてみて、いかがでしたか?
街路樹でもよく見かける「ナナカマド」や「ミズナラ」といった身近な木を育てる機会になりました。普段目にしていても、成長過程を間近で見る機会はなかったので、とても面白かったですね。例えば、私自身、犬を散歩させるときに街中の植物を見て「あ、これミズナラだ!」と気づけるようになり、楽しみが増えました。
ーお客様や従業員の反応はいかがでしたか?
苗木を設置していると、いろんな方が興味を持って見に来てくれました。例えば、昔どんぐりを育てようとして失敗した話をしてくださる方もいました。苗木を通じて様々な会話が生まれるのを感じました。
また、苗木を置く場所を移動させた際には、通勤時に確認して弱っていたら教えてくれる方もいて、苗木の成長を多くの方が気にかけてくれている様子がわかりました。
ー今後、サステナビリティやSDGsに向けた取り組みについてお聞かせください。
北海道に暮らしていると、地球温暖化の影響を身近に感じます。例えば、鮭が取れなくなる一方でカツオが取れるようになったり、サツマイモの栽培が可能になったりと、気候の変化が私たちの生活に影響を与えているのを実感します。
SDGsの言葉も広く知られるようになり、多くの方がその重要性を理解するようになりました。しかし、まだ実行に移す部分では課題も多いと感じています。私たちはその危機感を共有しながら、これからも多くの方々と協力して取り組んでいきたいと考えています。
ー最後に、MODRINAE HOKKAIDOの植樹に向けた想いをお願いします。
北海道という広大な自然とともにその恵みを受けながら生活をしていると、人間が自然の生態系にどれだけ影響を与えているかを改めて考えさせられます。その結果が現在の状況を生み出しているわけですが、私たちはこれから「何をすべきか」を考え続けていかなければなりません。
一方で、一人一人ができるアクションはたくさんあります。MODRINAE HOKKAIDOもその一つです。この取り組みを通じて、自分たちが自然に与える影響を学びながら、より多くの人々が関われる仕組みを広げていけたら嬉しいです。