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ジャズに興味がある人に贈る私的ジャズ論 その4 これこそスウィングジャズ

今回はジャズをこれから聴き始めようとする方に向けたおススメジャズアルバムの2枚目の紹介になります。

前回記事の1枚目をまだ御覧になっていない方はこちらから是非 ↓ 子供から大人まで楽しめる素敵なジャズです。

今日の紹介はスウィングジャズの観点からとっておきの1枚をご紹介します。

2枚目:ズートシムズ「Down Home」
   (邦題:ダウンホーム)

Zoot Sims

このアルバムの良さを一言で言えば、「これこそスウィングジャズ」ということになります。ビッグバンドジャズで感じられるスウィング感を密室型ジャズに閉じ込めたような典型的なスウィング感。実際にこのアルバムに入っている曲の中心はカウントベイシーオーケストラのものです。

おススメポイントは、
・テナーサックスがドカンと音の真ん中に居て聴きやすい
・全体を覆うスウィング感に統一感があり、初心者には耳なじみがよい
・テナーサックスの音質に癖がなくスッと入ってくる

と言うところです。余談ですが、ジャズ愛好家でも有名な落語家の林家正蔵師匠(昔のこぶ平さん)がその昔テレビに出てジャズの話をした時に、このアルバムを大好きですと紹介していたことがありますね。

ジャズにはいくつか主役級の花形楽器と言うのがあります。前回のオスカーピーターソンのピアノや、何度か引き合いに出すマイルスデイビスのトランペット、あとはサックス(アルトとテナー)があります。このアルバムはその中でもズートシムズのテナーサックスが堪能できる1枚です。

しかも「ジャズのスウィングとはなんぞや」と聞かれれば、まさにこのアルバムに収められているノリに他ならない。それぐらいスウィングしている。バラードや暗めの曲も一切なしの分かりやすさ。バックバンドもみんなズートシムズのスウィングに影響されたのか、こちらもノリノリで曲を盛り上げる。サイコーですね。

例えば、皆さんがこれからテナーサックスを習ってジャズをやりたいというのであれば、このアルバムで聴かれる演奏がまずは目標となるんじゃないか、そんなアルバム。文化祭でこんな風に演奏できたら大ウケ間違いなし!

先ほど、ジャズの中でサックスは花形楽器だと書きましたが、実際にテナーサックス奏者には人気の名演奏家がたくさんいます。ジョンコルトレーンやソニーロリンズ、スタンゲッツ、ハンクモブレー、他にも書き切れないほどいます。そしてそれぞれの演奏家に特有のサックスの音色というものがあり、個性を演出しています。枯れた音色を出す人もいれば、ねちっこい音色の人もいたりとそれぞれです。

逆に言えば、音色にも好き嫌いが出てしまう可能性もあるのですが、このズートシムズと言う人の音色は癖が無く、スッと耳に入ってきます。今後ジャズをたくさん聴いていくはずの皆さんにはテナーサックスの最初の音色としては最適な音色だと思います。

私が所有するCDはもともとの8曲にボーナストラックが6曲追加されている2017年リマスターものです(High Quality CD)。解説は幅広いジャンルをカバーし、ジャズの本も書いている原田和典氏。ただ、解説は短めでした。が、やはり原田氏もスウィング感についてコメントしています。

CDのボーナストラックはアウトテイクでアルバム本編に採用されなかったテイク集ですが、資料としては面白いですね。少し声が入っていたり、出だしでいったん演奏を止めたり、あるテイクは単に曲全体を流して確認するための演奏と割り切っているのが伝わってくるような演奏だったり。ただ、やはり本編は最初の8曲です。ここにこのアルバムの全てが凝縮されています。

逆に言うと、曲もノリも全てきちっとまとめられているので、後半は飽きてくる感じもしなくもありません笑。それぐらいスウィング感を堪能できるのがこのアルバムの良さとも言えます。このアルバムでジャズのあるべきテナーサックス感になじんだら、他のテナーサックス名演奏家の作品の良さもより一層聴き分けられるようになると思います。

しかしあれですね、このアルバムも前回のオスカーピーターソンのアルバム同様、所有欲をそそるアルバムジャケットです笑。こちらも中古アナログ盤を見つけたら買ってしまうかもしれません。

今回のおススメもぜひ聴いてみてください!

次回もアルバム紹介を続けます。

では、また次回お会いしましょう。

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