ジャズに興味がある人に贈る私的ジャズ論 その3 ジャズ聴き始めのおススメの何枚か
今回からこれからジャズを聴き始めようとする方に向けて、入門アルバムをいくつか紹介します。前回記事はこちらです ↓
今回のおススメですが、いくつか選定のポイントを挙げておきます。
・初心者に親しみやすく理解しやすいジャズであること
・有名かつ人気のあるアルバム(とアーティスト)であること
・ジャズ黄金期である1950年代中期ぐらいから60年代中期の作品であること
この3つをクリアするジャズアルバムは、家に置いておいて家族全員のBGMにもよし、1人でしっかり聴いても良し、知り合いと音楽談義をするも良しで、人生の長きよき友であり全く無駄にならないはずです。
では、早速行きましょう。
1枚目:オスカーピーターソン トリオ「We Get Requests」
(邦題:プリーズ リクエスト)
このアルバムの良さは一言で言うと「典型的な古き良きジャズ」と言うことに尽きます。アルバムジャケットからライブ盤なのかな?と思ってしまいますが、スタジオ録音ですね。このジャケットの雰囲気も良いし、オスカーピーターソンのピアノやバックの演奏も奇をてらわず、選曲も偏っておらず安心して聴けるものばかり。ざっとこのアルバムのおすすめポイントを挙げます。
・日本人が好きなピアノトリオのアルバムであること
・ウッドベースの音が良く聴こえ、ジャズのリズムの楽しさを味わえる
・選曲がブルージー過ぎず、明るめの曲が多く、朗らかに聴ける
・原曲をジャズにアレンジしていてジャズとポップスの中間としても聴ける
(最後の曲はオスカーピーターソンのオリジナルです)
このアルバムを聴いて「何これ?」と頭がはてなになることはないはずです。ピアノトリオの編成と言うことで、音もごちゃごちゃしておらず、ピアノとベースとドラムの音だけですので、誰が何をしているのかよくわかります。耳をジャズに慣らすにも良いと思います。終始ウッドベースの「ブン、ブン、ブン」という低音が心地よく響いてくるのもまさにジャズ。
初回の記事で描きましたが、ジャズには密室的なジャズの要素が強くあります。何やら暗いライブハウスや地下室でタバコの煙や酒に囲まれて、恍惚の表情で演奏するジャズメン達。そんなジャズの持つ男性的で好きな人だけ受け入れてくれれば良いという一匹狼的な感じ。もちろん、そういうところもジャズの良さですが、最初はそこがあまり強く出ると拒否感の方が先に来てしまうと思われます。なにより、こういう明るい感じのジャズは合わないシチュエーションが無くていつでも安心して聴けます。
ボサノバ系の曲が2曲入っているのもそういう明るさや朗らかさにつながっているのかなと思います。あと、前回記事で描いた、原曲の主要パートを演奏した後にアドリブに入り、そこからまた原曲に戻って曲をしめるというハードバップ期に確立された曲構成も良くわかるはずです。原曲部分もジャズ風に解釈されているのがわかります。コードがリハーモナイズされたりリズムが跳ね系になっていたりなど、いろいろなジャズっぽい工夫がわかりやすい。
ちなみに、オスカーピーターソンは既に亡くなっていますが、母国のカナダでは勲章を授与されているぐらいの英雄です。このアルバムも彼のカタログの中では圧倒的な人気作ですし、ジャズアルバム全体でも誰がリスト化してもベスト100には入ってくるでしょう。
私が持っているCDは2000年代ぐらいに紙ジャケで再発されたリマスター盤です。解説はジャズ評論家の(故)油井正一氏が書いています。今もなおジャズ名盤としてリマスターや高音質版で再発されていますので、ぜひ購入されるといいのではないかと思います。私個人はCDは既に持っているわけですが、中古のアナログを見かけたら買ってしまうかもしれません笑。
もう1枚紹介しようと思いましたが、キリが良いので毎回1枚ずつの紹介で行こうかなと思います。
次回も私のおススメをご紹介します。
では、また次回お会いしましょう!
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