銘柄簡易分析 3529 アツギ
信用倍率が気になるが、理論株価を信じたい
簡易銘柄分析
1)銘柄選択の理由
7月の1Q決算でのチャートで、豊富なキャッシュと割安なバリュエーションとお見受けした
四季報
【浮 上】柱のストッキングは猛暑で数量伸びず。冬場の高単価タイツ類で挽回。紳士服肌着が好調。不動産は物流施設向け賃貸開始で一段増。原価低減進む。会社計画は過大だが営業益浮上。有価証券売却益。
【強化策】中国工場でスマートファクトリー化を進め製造原価を抑える一方で、販売網の拡大を目指す。国内では不動産事業は賃貸利益増のため遊休土地を有効活用。
トピックス
1)10/1付けで特定子会社の二つがもう一つの特定子会社に吸収された。(中国)
2)5月発表 2027年中計減修正
参考)
保有株 2024年度末に純資産(334億4100万円)比率10%以下(投資有価証券の期末保有時価総額30億円)を目標として売却を進める。
2024年修正目標では投資有価証券の売却に伴い、14億円の特別利益(投資有価証券益)の発生を見込む(織り込み済み)
復配を目指す
D2C事業= (ダイレクトTOカスタマー)顧客直販、推進事業
2)業績推移
3)簡易分析その1
バリュエーション:PER8.5倍、PBR0.40倍、利回り-%、信用倍率75.20倍(ちと高い)
利回り・配当利回り:-%、配当性向0.0%
財務体質: 純資産334億円
自己資本比率: 80.9%
時価総額: 148億円
経常利益率:2023年3月期末△7.7%、2024年3月期1Q△6.3%
4)BS推移 横ばい、足元はやや自己資本が増えつつある
5)株主構成 海外比率13.8%前回と変動なし
6)ビジネスモデル 主業はストッキング、男性用下着の販売、収益の柱は不動産
7)同業他社比較 営業利益が課題
8)財務健全性 有利子負債率0.0%、ネットD/Eレシオ△8.4%
9)利益率
営業利益は赤字決算、率は改善傾向にあるが依然マイナスではある
10)成長率
過去5年CAGR 売上△0.6%、営業利益△8.3%、経常利益△7.9%
11)今後の成長要因はあるのか
利益での成長要因とすれば、不動産の遊休地利用による収益増、と10/1に発表した中国の特定子会社の集約によるコスト削減=利益率改善期待か。
売上成長率は、当初コンビニ(7-11)の取扱いでの期待もあったがこれはIRに確認してみることにする。
割安度について
1)現在株価の位置を確認
PERは安値圏で推移
PBRは高値圏
分析でいくと、
1,利益の変更:利益が減少することでPERは下がる → アツギは上がっているからこれじゃない
2,資産価値の評価:不動産、特許などの資産が評価されている場合純資産が増加 → アツギは増えてはいない、回復傾向にはあるが
3,市場の期待:市場の期待で株価の上昇、PBRは上がるが、現状の利益はが追い付かずPERは下がる → アツギはこれか?
4,財務戦略:積極的な自己株買い → これは違うな
となるので、結果3の今は株高という結果に??
2)MIX係数= PBR × PERでの確認
10/7現在、PER8.5倍×PBR0.40倍=3.4 同業他社比較でも一番低い
3)理論株価とかリスクリワード(基本2倍)
理論株価は2,087.5+99.9×8.5倍=2,936円
現在株価が877円なので2,936円÷877円=3.34倍
4)CN-PER=キャッシュニュートラルPER(資産価値を含めたPER / 買収者視点 による割安度)
CN-PER = PER × (1 - ネットキャッシュ比率)
ネットキャッシュ比率 =8.5×(1-(122/148))
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結論)cash neutral PER 1.49倍
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・流動資産 152億(内:現預金37億、売掛金32億、商品80億×0.7%=56億、その他27億)
・投資有価証券 58億
・総負債 88億
・時価総額 148億
・自社株保有比率 7.5%
ネットキャッシュ 152億+58億-88億=122億
次に同社を今の株価で買収するのに必要な金額を求める
自社株を引いた時価総額は148億円×(100%-7.50%)=137億円=同社を今の株価で買収するのに必要な金額
キャッシュニュートラルPERは(自己株を除く時価総額137億円-ネットキャッシュ122億円)÷当期純利益予想16億円=0.93
整理
1,同社を買収するのに必要な金額は137億円。
2,同社を買収した瞬間に手元に入ってくると考えられる現金は122億円。
3,これは同社を買収するのに必要な実質的な金額が137億円-122億円=15億円という事になります。
4,一方今期の当期純利益予想は16億円。
5,ここから実質買収に必要な金額15億円を何年分の利益で回収できるかという事を考える。これがCN-PERの概念。
これは同社を今の株価で買収すると0.93年分の利益で買収資金を回収できるという意味。
だからCNーPERの事を「資産価値を含んだ真のPER」とか「買収者視点の割安度」と表現。
基準は5倍以下