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Photo by
denwa_uranai1
おいわい こわい
誕生日祝いが苦手だ。
まんじゅう怖いの意味合いではない。
誕生日を覚えていただいて、おまけに祝っていただけることは嬉しい。
しかし、急に暗くなった店内、聞き覚えのある音楽と共に、奥からケーキが運ばれて来る間の辛さをご理解いただけないだろうか。テーブルが奥の席だと、到着までの時間が、また長く居た堪れない。
想像してみてほしい、自分に全く関係ないお客様まで巻き込んで、その貴重なお時間をいただく罪悪感を。
せめて可愛い子どもや成人を祝うお嬢さんや、古希のご長寿様であるならば、見ている側もお祝いしたい気持ちになるかもしれない。
しかし、こちとら微妙な年齢の見知らぬオバサンだ。格好だって適当だ。ライトを浴びる準備はしてきてない。追い打ちをかけるように店員さんがご唱和を求める。音楽も妙にスローテンポ。
つら。
結局、笑顔の店員さんと笑顔の仲間を前に逃げ出すことも出来ず、とにかくローソクを吹き消すまで、俯瞰で、自分はキラキラ店舗内でお祝いを受けるに相応しい主人公と言い聞かせて、羞恥心と申し訳無さを押さえ、厚顔無恥な笑顔でやり切った。
この先、いつかのお誕生日に、お祝いを受けることが、受け入れられるように成長できる未来になると良いなあ。