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10月20日

サーーという音がして、夜中に目が覚めた。

霧雨が風で窓に打ち付けられているような音だった。

寝ぼけまなこで外を見ると、地面は濡れてない。

空気清浄機の音かな、そう思い直して、また寝てしまった。

今朝起きて外を見ると、さー、さーという音がして風が強く吹いている。雨は、やはり降っていなかった。


朝早いと、子どもたちもまだ寝ているので、家の中は静かだ。

でも、耳を澄ますといろいろな音がする。

換気口の音、家電の低音、他にも説明のつかない音が漂っている。かすかな連続音がして、見回すと、電波時計が慌てて時刻を合わせている場面に遭遇することもある。


音といえば、得体の知れない音がある。

時おり、地鳴りのようなグォーという音が聞こえる。幼い頃から気になっていたが、いまだにわからない。調べようともしてこなかった。

おそらく、飛行機の音だろうと思っていたが、飛行機がとんでいる時は、いつも静かに飛んでいるように見える。


他にも、わからない音がある。

商業施設などに入ろうとした時に、キーンとした耳が痛くなるような音がすることがある。

周囲の人には聞こえないようで、私だけが耳を押さえている。子どもには聞こえるかと思うと、聞こえる子と聞こえない子が。

もしかしたら、何かしらの超能力?なんて思いながら調べてみたら、ネズミや害虫避けの装置の音らしい。

商業施設の前で待ち合わせということは、私にはできそうにない。


毎年、夏の夜になると、ジーという音が聞こえてくる。

あまりにも大音量すぎて、かかってきた電話も聞き取れず、あとでかけ直すことに。

一緒にいた友人2人に「この音なんだろう」と聞くと、2人とも「聞こえない」という。

調べてみると、クビキリギスの鳴き声らしい。見た目はバッタが口紅をひいたような昆虫だ。噛みつかれるとかなり痛いらしく、無理に引っ張ると首が切れてしまうのが名前の由来度という。昼間、子どもたちがつかまえた時は全く鳴いていなかったが、夜行性なのだ。

人の耳に聞こえるのは20kHzまでと言われていて、クビキリギスは11〜14kHzほどの高音なので聞き取れる人とそうでない人がいる。

自分にしか聞こえない音があるというのは、少し不安になる。
そこで、友人にあれこれレクチャーし、クビキリギスの鳴き声が大きい(低音ボイスな個体だったのかもしれない)ところに行ってみたら「聞こえる」と言ってもらえたので、ほっとした。

飼っているペットが人間の言葉をしゃべれたらいいなと思う飼い主がいるが、しゃべれたら何をしゃべるだろう。
「いつもありがとう」「大好きだよ」なんて言ってくれればいいものの、可愛い顔しながら、「餌をよこせ」どすをきかせた声を出すかもしれない。はたまた、なんの感情も持たないかもしれない。
しゃべれないから可愛いってこともあると思う。

わからないから魅力的ということもある。

人には人の聞こえる音域があるということは、そういうことなのかもしれない。



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河村 恵
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