クロード・レヴィ=ストロースと「焼き海苔」のこと
僕は学者になろうと思ったことは一度もない。その能力があるかどうかはともかく、一つ事にこだわるなどというのは性に合わないし、キザな言い方をすれば、学者になるには堪え性がなく、色気が多すぎた、と思う。
しかし、ものを考えるのは自分の習い性だと思ったから哲学を専攻した。後になって気がついたが、実はこれは将来がおぼつかない選択だった、それでも他の連中が気にしたように就職先があるかどうかなど一顧だにしなかった。
それと言うのも、中学生で大江健三郎と出会い、その延長でジャン=ポール・サル