「個人のプレゼンティーズム」と対になる「職場のプレゼンティーズム」 そして「組織の生産性のネガワット」

メンタル対応に強い産業医を味方につけることは、
企業はプレゼンティーズムのコストを軽減することにより、
生産性の向上につながる!
という話の続きです。

少しおさらい。
プレゼンティーズムとアブセンティーズムは、健康問題が企業の生産性に与えるマイナスの影響のことで、
・プレゼンティーイズムは働いているけれど、生産性が落ちている状態
・アブセンティーイズムはそもそも働けなくなる状態
でした。

|「個人のプレゼンティーズム」|
企業の損失は、アブセンティーズムよりもプレゼンティーズムによる損失の方が大きく、
そのプレゼンティーズムを来す健康問題のうち、
特に大きなものがメンタルヘルスの課題です。
本人は休むほどには至らなくとも作業効率が低下したり、、
休業から復職したとしても元々の力を発揮しにくかったりします。

そこにメンタル対応につよい産業医が介入することによって、
主治医の治療を適切に利用できるようになったり、
職場の配慮が適切になされることにより、
過負荷になることなく少しずつ回復し、
従業員の「個人のプレゼンティーズム」が改善して本来の能力を発揮できるようになる。
つまり生産性が向上する。
この話の筋はわかりやすいと思います。


|「職場のプレゼンティーズム」|
健康関連コストとしてプレゼンティーズムを考えるとき、
損失のもととされているのは個人の作業効率低下です。
しかし、もっと重要な損失があります。
それは、
プレゼンティーズムの状態にある従業員の職場のモラール(士気)の低下と、
その部下をケアする上司の労力コストです

産業臨床に関わる方、
個人のプレゼンティーズムを支援した経験を持つ方には
腑に落ちていただけることでしょう。

調べましたが、この状況を指す言葉は見当たらないので、
「個人のプレゼンティーズム」と対となる言葉で「職場のプレゼンティーズム」と呼んでおきます。

従業員の「個人のプレゼンティーズム」よりも、
「職場のプレゼンティーズム」のコストの方が2倍3倍のマイナスとなり、職場の生産性を削いでいるのです。


|職場の生産性のネガワット|
「ネガワット」という言葉があります。

ネガワットとは:省エネ、電力取引業界での用語
(引用)ネガワットとは、ネガティブと電力の単位であるワットを語源とする造語で、負の電力という意味です。
電気を使う際に本来100Wの電気が必要なのに対し、工夫をして80Wで済ませることができた場合、節電できた20Wは他の誰かが使うことができます。
そのため、節電できた20W分について「電気を使っていた人が発電したものと同等に扱う」というのがネガワットの考え方です。(引用終わり)

総体として職場の生産性を捉えた場合に、
メンタル対応に強い産業医は上司から部下のケアにかかる働きかけ(ラインケア)を支援し、効率的、効果的なものにします。
すると上司のラインケアにかかる工数が減少します。
つまりその分、生産性を増したことと同等になります。
つまり「『職場のプレゼンティーズム』における生産性のネガワット」、
略して「職場の生産性のネガワット」が生まれます。

つまり、
メンタル対応に強い産業医はラインケアの支援をすることにより、
「職場の生産性のネガワット」を行い、
起業の生産性を向上させることができるのです。


誤解を避けるため強調しておくのは、
ラインケアは上司の本来業務であるということです。
ただ、本来業務であるとしても、
「個人のプレゼンティーズム」のケアを上司単独で行うのは困難ですし、
それに習熟するよう求めるよりは、
上手に支援を使えるようになることの方が上司として適切な努力です。

メンタル対応に強い産業医によるラインケアの支援は、
上司の本来業務を実効的なもの、効率的なものにすることにより、
「職場の生産性のネガワット」を行います。

もし、この「職場のプレゼンティーズム」
「職場の生産性のネガワット」に類する言葉をご存知な方がいらっしゃいましたら、
ご指摘、ご指導くださると大変嬉しいです。

この項ここまで。



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