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テレアポについて

先日、と言ってもつい2、3日前のこと。事務所の部下は全員外出したかMTGに入っており、私は一人ぽつんと午後の睡魔と戦いながら事務作業をぼんやりと…久しぶりに部下からの質問も社長からの指示もない貴重な時間だ…を過ごしていると、電話が鳴り響いた。
よくある営業電話だった。
テレアポを嫌悪する一定層の人間がいることは把握しているが、私自身もテレアポを行い、部下にやらせる立場でもあるから、まずは話を聞くようにしている。
テレアポ先の彼はこういった。
「御社が集めている技術職のお手伝いができそうでして」
 弊社は人材会社であり、主な売上は技術職の人材派遣で成り立っている。
 こういう時、私は必ずこの質問をする。
「人材紹介か、広告媒体か?」
 彼は答えずにこういった。
「この話は決裁者のある部長様以上ではないとお伝え出来ません」
 腹が立ったのでこう言い返した。
「私は役員ですが、ムカつくので切ります」

以前にも似たようなことがあった。
某という企業顧問を紹介するサイトの営業だ。
当時弊社では営業販路拡大のため、人脈の広い大手企業のOBとコネクションが持てないか…と考えており、メールフォームから問い合わせを行ったのだ。(結局実施はしなかったが)
「河合様、決裁権はお持ちですか? 決裁権が無い方とはMTGをしない決まりになっています」
 私は直ちに断りを入れた。

私は過去に複数社のテレマーケティング企業を経験したことがあり、彼らの手法については大いに理解はできる。
所謂、「受付突破」の技術と「タイパ」の最大化を図ろうとしたのだろう。
こういった企業は往々にして従業員にこのような指導をする。
「受付は何も分からない女性だ。決裁者は電話の奥にいる。決裁者と話さない限り商品は売れない」
今時バイアスも甚だしいが、彼らの常識の中では「決裁者はふんぞり返って電話に出ない者」であり、「受付は若く、経験が少なく、知識もない女性が多い」という先入観によって成り立っている。
私のように、電話に出る決裁者は「想定外」という事だ。

彼らは往々にテレアポとは管理できるもの、と考えるから、熱心にKPIを作成し、過去のデータを分析して、従業員に日々の、そして月間の目標を課すことがある。
もう倒産してしまったが、私が新卒時に入社したあるノンバンクの営業ノルマは下記の通りだった。
「1日200件電話しろ」
要するに、200件電話をすれば1件程度決裁者のアポイントが取れる。となると月に20件の商談が「少なくとも」できる。20件商談したら、そのうちの2、3件は「必ず」成約できる。

この比率は企業によって異なり、別の企業では100件電話してアポ1件、もしくは50件電話してアポ1件、などと尤もらしい、スマートで、ロジカル(風な)目標を立てたがる。そして未達になると会議や朝礼の場で叱責し、達成すると逆に褒め称える。

勿論、トーク内容ですら管理できるもの、と彼らは考える。
何ページにも及ぶトークスプリクトを作成し、会話の応対に応じたチャート図を作成する。
〇〇と言えば○○と返してくる。そうしたら○○と返せ。彼らは必ず〇〇と答える…と言った具合だ。

残念ながら、テレアポを受けている、君たちが「何も分からない」と思っている受付はテレアポを受けるプロである。トークスプリクト通りに話していることは二言目にはバレているし、自社にとってメリットのある話か、自分では判断できない内容か、も十分に理解している。受付に断られる、とは要するに貴社のテレアポが非常につまらなく、聞く価値が無いと判断されているか、残念ながらタイミングが合わず非常に忙しい時間だったのか、或いは「今は」その商品を必要としていない、という証左である。

私自身は幸運にも、「テレアポをする側」と「テレアポを受ける側」の双方を経験したことから、テレアポの極意ともいえるべきノウハウを得ることができたのだが、このノウハウはいずれ書きたいと思う。

ただ、一つ部下に伝えていることがある。
「自分が面白い、と思ったテレアポはどんどん受けていいし、それでアポが入ったら自分が同席してもいい。逆に面白くなかったら遠慮なく断ってしまえ。そして、「どうしてこのテレアポを受けてしまったのか?」を分析しよう。そうすることで、より自分のテレアポの質が高まっていく」

という事で、営業職をされている方々はぜひ弊社に電話をして欲しい。
実践こそ最高の教科書であるのだから、弊社の社員教育の一助を担って頂けるなら幸いである。


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