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バスで出会った人たち。

東京にいるときはバスで通勤している時期があった。


家の前のバス停から会社近くのバス停まで、約40分ほどの通勤バス。


電車にも個性的な人が多いが、バスにも個性的な人が多い。


私の通勤時間が一般的な通勤時間と異なる時間帯でもあったので、基本的には高齢者が多く乗っていた。


帰りの時間だと、ほぼ高齢者はいなくて、会社帰りと塾帰りの子供達が多い。


そんなバスだが、お彼岸の時期はびっくりの乗車率。


席も満杯。通路も満杯。


場合によっては運転手さんが
「ただいま、ご乗車いただけません。次のバスをお待ち下さい」とアナウンスをしているレベル。


そんなギチギチの満員バスの中で、二人がけのシートを一人で占領するお婆ちゃん。


二人がけシートに自分、その隣のシートに大きなリュック。


それを見た私は(荷物を膝に乗せてくれたら一人分の空間空くのだけど、声をかけようかどうしようか、、)と悩む。


悩んでいたら、私の隣で立っていた高齢のおじいさんが「すみませんが満員ですので、荷物を膝に乗せて席を一人分空けていただきませんか?」と柔和な物腰でお婆ちゃんに声をかけた。


私は声掛けありがたいと思いつつ、お婆ちゃんの動きを待つ。


お婆ちゃんはその声を聞き、荷物をがさごそと開けた。


私とおじいさんは荷物を整理して、膝に置いてくれるのかな?と待つ。


するとお婆ちゃん。


席に置いた荷物から取り出しました!


「カンロ飴」


てってれー!!カンロ飴〜♪(ドラえもん風)

引用元: カンロ飴


カンロ飴一粒の袋をあけ口に運び、外を眺める。


え!!??


席、空けてくれないの!?!??


今、めちゃくちゃ無視したよね!?


おじいさんの声がけは、しっかり目を見て話していたので聞こえてないわけが無い。


驚く私、驚くおじいさん。


2人で顔を見合わせなんとも言えない微笑みを浮かべる。


おじいさん心の声
「席、譲ってくれないんだって。やれやれ」

私の心の声
「ホントだね〜。やれやれ」

みたいな会話を笑みだけで、交わした気がする。


途中で、おじいさんとお婆ちゃんは同じバス停で降りていった。


降りる場所一緒なんだな。と思い、見送る私。


そして、お婆ちゃんがいた席に座れた私 笑


またある時。


こちらは夜の帰り道。 


座席にはちらほらと人。閑散としたバス。


とあるバス停でお婆ちゃんが乗ってきた。


私はちょうど、出口に近いとこの2人がけシートに1人で座っていた。隣の席は空いている。他の席も空いている。


のだが。


お婆ちゃんは私の隣の席に座り間髪入れずにこういった。


お婆ちゃん「今日ね。○○に遊びにいったの!でもね」


私は当然の会話のスタートに驚く。


え?!知り合いだっけ?
このバスの中で待ち合わでもしてた友人か?


そんなくらいのノリで話しかけられた私。


お婆ちゃんのマシンガントークは収まらず、とりあえず適当に相槌をうつ。


「へー」
「そうなんですねー」
「なかなかねぇ」
「大変ですよね」
「いいじゃないですかー」


これの繰り返し。


最終的に「中村屋の肉まんは美味しい」で話盛り上がった。


結果、私も楽しく話してたのですが 笑


途中でお婆ちゃんは


「この歳でね。夫も友達も皆、死んじゃってね。話相手もいないのよ。お喋りしてごめんなさいね」と私より先にバスを降りた。


「私も楽しかったですよ。お元気で。また」と見送りバス停で降りるお婆ちゃんにバイバイと手を振りながら見送る私。



外からバイバイと手を降り返してくれたお婆ちゃんはチャーミングで、私は一時の寂しさを感じた。


最後の時まで、元気であれ。



ちなみに、書きながら他にも色々な人を思い出したのだけど、長くなりそうなのでまた別の機会に!!

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