過去の私の作品㊷

少しずつ光が私を包み込んでくれていた。
心地よい暖かなぬくもりを感じ安心さえしていた。
もう大丈夫。そう自信を持てそうだったのに…。
その光の手前に、大きくて冷たい氷の板があることを私は忘れてしまっていた。
いや、見えないふりをして誤魔化していたのかもしれない。
この氷が溶けてくれると一人で喜んでいたのかも…。
結局、溶けてなくなることはないみたい。
確かに氷越しの光は、眩しい光で美しく、
澄んだ透明感と輝きを感じ美しい。
でも、本来の温もりと、光の優しさも感じないのだ。
わかってる…。
この氷の板は、ある時を堺に私が現実を遠ざけるために、自分で作ってしまったものであることも、
現実を受け入れたなら、ゆっくりではあるにせよ、その氷の板はきっと溶けてくれることも…。
わかってる…。
でもそここら逃げたくても、怖くてできない私がいる。
その景色を失うことが怖い私がいる…。
誰か、教えて…。
氷の板の冷たさも、重さも透き通る美しさも、嫌だけど嫌いになれない現実から離れる方法を…。

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