黄門ちゃいまの世直し旅/第6話[未来との遭遇]
ナレーター/御老公一行は、不安を抱えながらも、麓(ふもと)を抜け、町に出た。
助さん/これが未来の日本というものなのか
格さん/私たちの時代にもあるような建物も残っ
ているようですね
ご隠居/そのようじゃな
格さん/そういえば、御老公、何か体の変化は感
じませぬか
格さん/私自身、天津湯(あまのゆ)での打ち身で
負った痛みがまったく感じえ無いので
すが
助さん/格さん、私も同感ですよ
ご隠居/この世には不思議な事もあるようじゃな
格さん/あの光に包まれたのがこの原因でしょう
か
ご隠居/そのように考えるのが自然でありましょ
うな
助さん/本当に不思議な事があるものですね
助さん/なにか体も凄く爽快感が有るのですが
格さん/私もです
ご隠居/そういえば、私も元気の気が、みなぎっ
ているように感じますぞ
助さん/私たちは大丈夫でしょうか
ご隠居/その事は良いように考えるしかありませ
んな、はっはっはー
ナレーター/一行は、初めてのタイムワープで不思議な経験をしたようでございます。その体に起こる現象は、今で言う素粒子分裂の後に再び体が構成されたのか、非常に興味深い出来事でございます。それは神の御業なのか知りたいところでございます。
格さん/御老公、この町全体を見てくだされ、道
は全て舗装されています
歩く人々の服装も西洋のものでしょう
か?
ご隠居/おそらく蘭服(らんぷく)が進化したもの
であろう
助さん/いったい私たちは幾年過ぎた未来に来た
のでしょうか
格さん/それならば、あそこに歩いておる、姫方
(ひめがた)に聞いてみましょう
ナレーター/そこで少し慌てるがごとく、ご隠居様が格さんに言葉を投げかけた。
ご隠居/格さん、ここからは、民衆に溶け込まね
ばならぬから、身分がバレぬよう、務
めるようにお願いしますぞ
格さん/はい、心得ておりまする
ナレーター/さすがは御老公、要所要所は決めま
する。そして、格さんは20mくらいはありましょう、その先に見える娘(むすめ)ごにトコトコっと近ずいて行きました。
格さん/娘(むすめ)さん、娘さん、ちょいと待っ
てくれ
ナレーター/格さんの言葉と同時に、格さんが近づけば、その娘(こ)はその分離れ、また格さんが近づけば、その分離れ、いっこうに距離が縮まらない、それはまるで磁石が反発するような様子。格さんが4回目の言葉をかけた途端、娘さんは小走りに、走り去って行きました。其れはまるで変態野郎から一刻も早く逃げ去りたい、逃れたい、いやぁ~なオーラを解き放って逃げで行ったのでした。
格さん/あっ逃げてしまわれた、何も悪るさはし
ておらんのに……
助さん/格さん、なにをしてるのですか
格さん/何もしとりはしませんぞ
助さん/してるのなにも、格さんの見た目が怖い
んだから、そんなのに急に近ずかれて
は逃げるのは無理もありませんよ
格さん/なにー(怒る)
ご隠居/まーまー二人とも喧嘩してる場合ではあ
りませんぞ
助・格/はい、ご隠居
助さん/格さん、私が見本を示すから見ていてく
ださい
ナレーター/ちょっと紹介し忘れておりました。
知らない人のために、格さんと言えば、身体は頑丈そのもの、今で言う超人ハルクという感じでしょうか。
助さんと言えば、ちょこっとナンパな武術使いという感じでしょうか、いずれも剣術・武術の達人でございます。
ご隠居は言わずと知れた、先の副将軍水戸光圀でございます。詳しくはGoogleでw
ナレーター/話を戻しまして、助さんは次に歩いてくる、歳は三十路手前の娘さんでしょうか。助さんは、すこすこーっと近ずいて声をかけました。
助さん/ちょいとおむす(娘)さん、おむすさん、
ちょいとお待ちを……
三十路手前/何ですか、あなた、おむすおむすっ
て、私の顔がおむすびに似てるから
って、バカにしてんじゃないわよ!
バァーン!
ナレーター/あらあら助さん、丁寧に[お]の字を付け足したばかりに、誤解を与えてしまったようで、相手を怒らせてしまったようです。ちなみに江戸時代は女性をおむすと表現していた記録があるそうです。
助さん/痛い!私はなにも……
三十路手前/なによ失礼ね、ところで、その格好
変態じゃないの…プイ
ナレーター/助さん、大失敗でございます。女性はさっさと立ち去りました。格さんはそれを見て、心の中で[してやったり]とそして口元はニヤリと私にはそう見えました。う~ん確実ですw
助さん/この時代はわかりませぬ、どうしていい
のやら
ご隠居/そうですな、私たちの身なりも、この未
来の世には、相応しくないように思え
ますな、また、言葉の変化も大きいよ
うじゃ
ご隠居/取り敢えずは、辺りを散策しましょうぞ
助・格/はい、かしこまりました。
ナレーター/さすが御老公、冷静な分析、頭が下がります。
そして、御老公一行はこの後、どうして過ごすのやら、新たな波乱はあるのやら、心配は尽きないのであります。
続く……
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