掌編小説|チョコチップアイス
「じゃあね、元気でね。また連絡するからね。」
彼女は車に乗り込み、僕の前から姿を消した。蝉の声に感情が吸い取られていく。最後まで見送ることが出来なかった。彼女に涙は見られたくなかった、小さなプライドだ。こうやってささやかな大恋愛は幕を閉じた。
今日は好きなバンドのライブだっていうのに、最悪な状況だ。それでも僕はバスに乗り込んだ。がらんどうになった部屋にいる事の方が辛かった。
バスに乗りながら、自然と涙が出てくる。特別な思い出というよりもありふれた日常を思い出す。コンビニに