役者脳
ドラマと現実、脳にとって価値は等しい。リアルと虚構、人は充分分かっているが脳に区別はつかない。夢や想像も脳に浮かんだ映像は同じ価値。練りに練った企画、脚本、演出で最高のシチュエーション。東出がああなるのも無理はない。杏にとって父も夫も、あるいは自身さえ陥った罠。人と脳とのせめぎ合い、役者の宿命。「第一君がそれを確かめたんじゃないか。」逆もまた真なり。借金で追い込まれる芝居、リアルでそんな状況に陥った場合、負のリロードが始まる。沖田浩之はミナミの帝王に詰められて自殺。古尾谷雅人が死んだのは都井睦夫としてか勇介としてか。いずれにせよ悪役は幸せに。竹内結子の自殺が役者脳の等価原理によるものだとすれば、彼女は「結婚と死」に於いて二重の苦しみを味わったことになる。彼女はこの世で生きてゆくには繊細過ぎた。獅童ほどの図太さがないとこの世で生き抜いてゆくことは難しい。
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