仕事は崇高な暇潰しである。持て余すと逆に潰されかねない。三十年前ひきこもりをやって闇を得た。二十年間培ってきたものが、たった二か月のひきこもりで消えてしまった。昔の自転車の様に漕ぐのをやめたらライトが消えてしまった。色は変わらないが暗い。一人バーチャルリアリティー。自分探しのための旅など必要ないし、見つけた自分はろくなもんじゃなかった。
一日何もしなかった夜、風呂に入ると体は固まっている。でも脳はその数倍のスピードで固まってゆく。脳は全てを記憶していて嫌なことばかり思い出す。フラッシュバックではない。常にそこにある記憶を脳内麻薬が緩和しているが、枯渇して来ると露出した傷に触れて痛い。 心的外傷は脳的内傷、夜中にあげる奇声は実は悲鳴だ。ひきこもると自分に目が向くのでそうなりやすい。この世でしてはいけないことの一つ。生きるエネルギーは自転車操業で生み出される。


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