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フランス国家認定ダンス教師の資格を得る道②

晴れてテクニックの試験に合格すると、次年度から理論の試験を受けることができるようになります。
国家資格として所有できるスタイルはクラシックバレエ、コンテンポラリー、ジャズですので、1つでもテクニック試験が合格できれば理論の試験を受験できます。
ちなみに毎年、ヒップホップも国家資格として認めてほしいと申し出がありますが国が受理してくれません。ヒップホップはフランスでも多くの方が踊っていますし世界トップレベルを誇っています。早く認めてほしいとも思っております。

【内容は3つ】
国家資格となりますので、しっかりみっちり勉強しなければなりません。
理論は3つ、音楽・解剖・ダンスの歴史です。それぞれ教師になるにあたり欠かせない内容です。
長くなるので音楽の試験をこちらで振り返りたいと思います。

【音楽】
日本人にとって一番有利に働くのがこの音楽の試験かなと思いました。
というのも、日本の中学や高校で学んだことが非常に活きるからです。全く好きではなかったですが、ソルフェージュが役に立ちました。
音階は試験の内容に関係ないですが、試験内容で必要なのがリズム。全音符とか四分音符とか、仕組みを理解ししっかり口頭でリズムを刻めること。フェルマータとかも出てくるので対応できなければなりません。

多くのフランス人生徒が涙しつまずいたのがこのリズム読解です。苦手意識を持っている子が多く泣いている子を多く見ました。。。また試験官もダンス系の試験官ではなく、音楽系(音楽の先生とか)なので判断が非常に厳しい。

楽譜に書いてあるリズムを読解する試験がフランス人にとって難問ですが、外国人にとっての難問は音楽の分析でしょうか。音楽の分析は2種類あって、1つはすでにその年に3種類分析しないといけない音楽が課されているので、当日くじ引きでどれが当たってもいいように準備すること。これは前々から準備できるので安心です。
外国人泣かせが当日、全く知らない音楽を聴いてすぐ分析を行う方の試験ではないでしょうか。
音楽の分析は主に年代・楽器の構成・どこの国・単調か長調か・構成はどうあってそれぞれどんな特徴があるかなど音楽に特化したことを口頭で発表します。ボキャブラリーが少ない分毎回不利だなと感じていました。そしてダンスの先生になることが目標の試験ですので、分析だけではなく、そこからさらにダンスの歴史を交えた考察やどう振付をするべきかを述べます。そして口頭で述べた後実際に自分で踊ってみせます。

人前で歌うことが苦手、というフランス人は多いのですが、そんなフランス人にとってもう一つ苦痛だったろうなと思ったのがテンポ・歌のテストです。
テンポ10個程度、メロディー10個程度、ダンスで有名なものが課せられます。
テンポだとスイングとかサンバとか、ジグとかボレロなどです。
メロディーはワルツ(速い・遅い)、ボサノヴァなど・・・

試験当日、それぞれくじを引いて、選んだメロディーを歌いテンポを読み上げます。それだけではなく、2〜3回歌い終わったあとは踊りながらです。緊張して声がひっくり返ってしまったりしますが、とにかくテーマに沿うよう踊りましょう。

【2024年の試験の様子】
私は試験日4日目くらいでしょうか。5月の朝一番、8時半ごろの受験でした。
まずはリズム・テンポとメロディー・課せられたタイプの音楽の分析・当日の分析、とそれぞれくじをひきます。
番号が書いてあるので試験管に渡してリズム試験ようの楽譜が渡されます。
ここから30分間、別室でひたすら楽譜を読み上げ練習、また当日分析の音楽の番号が書いてあるので、別室にすでにあるパソコンから音楽を何度も聴いて分析をまとめます。

30分経つとアシスタントの方が呼びにきます。
まずは当日受け取った楽譜からリズムを正しく読む試験から。足か手で拍を刻みながら口頭でリズムを言っていきます。終わると音符や記号の質問なんかもきます。私は何個かそういった質問が来ました。。。

次に当日分析。私が当たった音楽は嬉しいことに?アカペラ系でした。楽器もフランス語で全てを知っているわけではありませんからありがたい。年代も絞り込みやすい。自分としてはラッキーでした。自分なりの音楽的分析・踊るなら?の分析も加えて、発表した後は自分で即興です。

次にテンポ・メロディーの試験ですが、覚えていません・・・こちらは恥ずかしさを克服すれば大丈夫なので特に復習もしておりませんでした。特に問題は無かったように思われます。

最後、課された楽曲の分析ですが、今年課された課題はバロック時代からはバッハのBWV26の第一部と第二部、ジャズからNina SimonのI want some sugar in my bowl、現代音楽からArvo PartのSpiegel spiegelでした。どれも毎日聴いて振付作品も毎日見るくらい大好きな曲となりました。ちょっと苦手なジャズの課題曲をくじで引いてしまったのですが、私の準備していた回答でなんとなく大丈夫そうでした。(自分の経験から好きなジャズ音楽を使った振付家や作品をとにかく述べれば、試験管も勉強しているねと納得してくれたように感じました)

試験中は譜面台が急に落ちたりトラブルに見舞われたりしましたが、笑顔ありお褒めの言葉ありで無事終了しました。試験を受けているときは緊張もありましたが即興の時間など楽しかったです。
結果17/20という高得点をいただきました。

日本人に我々は、とにかく楽器や音符などフランス語の言い方で慣れること、課題曲に対してはすでにフランス語での言い回しを暗記しておくことが先手必勝という感じでしょうか。後はとにかく多くのダンス作品・振付家の作品を見てどんな曲が使われているかにアンテナを張って、当日どんなリズムや曲が来ても大丈夫なようにしておく。これが最大の武器になると思います。

それでは、良い一日をお過ごしくださいませ。


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