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Intermittents du spectacleについて①

フランスでアート活動をしている人の多くが、このIntermittents du spectacleと呼ばれるシステムを取りたいと思っています。
芸術活動をしているため他のことで稼ぐことができない失業者、そのため国からお金の助成金がもらえるという感じです。

これはフランスで就業できるVisaかアーティストVisaを持っていれば外国人にも適用されます。そのためフランス人のみならず世界中のアーティストがこのIntermittentsに登録しようと頑張っています。

それではまず、どんな人が資格を得られるのか。音楽家や画家などのアーティストはまた別かもしれません。こちらでは私も利用しているIntermittents du spectacle,つまり舞台に関するアーティスト用を記録いたします。

・外国人ならまず、就労Visa
・前年度、507時間働いたと証明できること(2024年現在)


【Visa問題】
大まかにこの2つです。私は長い間学生Visaでフランス生活を続けていました。そのためFrance travail(旧pole emploi)という職業斡旋所というようなところに登録することができませんでした。現在ではアーティストVisaであるPasseport talentというVisaを発行してもらえたのでなんとか無事登録することができました。フランス人であれば学生であってももちろん登録できますので、当時は何度も拒否通知がきて悲しかったのを覚えています。

【507時間ルール】
大体のアーティストが苦しむ問題がこの507時間ルールです。これは自分が活動した時間が年間507時間あったと証明しなければなりません。正規の契約書や給与明細に何時間というふうに記載されますので、こういった証明できる書類を集めることが必須となります。
–2024年現在507時間ですが、毎年政府がこの時間を引き上げようと(600時間など)プランを掲げます。507時間でも苦労しているのに時間数が増えたらますます困窮します・・・。政府の考えが見え見えですね。だからよくパリオペラ座ダンサーがこの手の政策が出るとストを行うし、2024年パリ五輪の開会式で踊ったダンサー達も反対の意を唱えるためにストをしたのです。–

私の所属している劇団では、1回のリハーサルが4時間、舞台本番は1回につき12時間です。契約書とAEM,BPといった給与明細のような書類に時間がしっかりと記載されています。これをFrance Travailのサイトかアプリに毎月のリハーサルの時間、本番の回数、源泉徴収前の給与をインプットして送信します。

この507時間の証明を1年かけて集めますので、この集めている期間の1年間は劇団から支払ってもらう少ない給料しか収入はありません。
507時間の証明ができ、晴れてでき登録完了したら給料と合わせて毎月合計大体1500ユーロになるよう補填されるという感じです。

もし今年度507時間に達しなかったとしても、最低1年間はFrance Travailから振込してもらえます。
一度登録できたらその後はずっと自転車を漕ぎ続けるかのように年間507時間達成、次年度の補償が約束される・・・を繰り返す感じになります。


【失業者である】
このシステムの癖があるところが、なんといってもアート活動をしているから失業者である、というスタンスではないでしょうか。
リハーサルやクリエイションをしていたら他に働いている時間がない。それはもっともです。
つまり、この申告でアート以外で稼いだ収入や時間は載せてはいけないし、仮にアーティストとして他にもたくさん稼いだ場合、場合によってはintermittentsの資格は無くなります。
例えば、ダンサーとして働きつつ、ダンスの先生としての収入を得ようとすることは可能といえば可能ですが、この場合intermittentsを継続して受け取りたい場合はダンスの先生としての収入を、資格が剥奪されないギリギリのところで抑える必要があります。
visaも税金もFrance travailも全てネットで紐付けされてますので、申告漏れや収入源のことなどすぐにわかってしまいます。intermittentsをキープするか、auto-entrepreneurでより稼ぐことができるならそちらに切り替えるか・・・という選択を考えなければなりませんね。


【登録するFrance Travailが別のところにある】
これも非常にわかりにくいので注意が必要です。
職業斡旋所であるFrance Travailは各区にあるので、最寄りのFrance Travailに行きがちなのですが、アーティストは別の専門のFrance Travailに行って登録しないといけません。
こちらです↓
住所:202 Rue de la Croix Nivert, 75015 Paris

こちらの住所のFrance travailがパリだと唯一のアーティスト専門の窓口です。他とは取扱内容やルールが異なっているため話が通じません。507時間超えた時点で全ての書類(契約書、AEM, BPだけでなく就労Visaも)を持って午前中に行きましょう。13時までならRDV(アポ)なしでいけます。


以上私が経験したIntermittents du spectacle までの道のりでした。
良い一日をお過ごしください。

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