コーヒーマメ

たまに短編と詩とか書きます。気に入ったらカンパくれるとうれしいです。でも大体全編無料で…

コーヒーマメ

たまに短編と詩とか書きます。気に入ったらカンパくれるとうれしいです。でも大体全編無料で読めます。褒めてくれるとよろこびます

記事一覧

俺は死んでいくのか

俺は死んでいくのか 健康診断の結果を見て、俺は沈鬱な気分になっていた。生きたくなんかない。そう思うほど辛い日々が続いた。人は裏切るし、社会に居場所はなかった。俺…

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短編:あばずれ

____ところでさあ、きみ、なんていうの?○○くんっていうんだ。ふーん。あたし?あたしはアイカ。え、かわいいって。源氏名だよ。嘘。ホントかも。どっちでもいいじゃ…

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1か月前
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短編:人格荒廃者のノート3

__2024年7月26日、○○さんのノートはあらかた目を通したが、意味のあるまとまりは全部で3つ、昨日までに発見した2篇と以下に書き記す最後の一篇が最後だった。定かでは…

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2か月前
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短編:喫煙所の布教者

なあ知ってるか。報酬系が死んでしまった人間は、廃人になるんだぜ。お前が毎日食べたくなるマクドナルドもコーラも寿司も牛ステーキも、何にも要らなくなっちまって、しま…

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2か月前
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短編:人格荒廃者のノート2

__2024年7月24日、○○さんのノートには不明瞭な部分が大多数を占めるが、時折明確なテーマを持った文章が現れる。以下にノートからもう一つ物語を示す。カルテにはあま…

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コーヒーマメ
2か月前
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短編:人格荒廃者のノート1

__2024年7月22日、○○さんが若い頃に書いたと思われる古びたノートを渡してきた。私は××センターに赴任してきたばかりで彼女のことをあまり知らないので、若い頃の人…

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2か月前
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宇都宮ビジネスホテル記2024年1月

宇都宮ビジネスホテル記2024年1月 私はその日、特に何をする気もなく、年末の気だるい騒がしさの中にいた。今年も紅白も大晦日特番も見ない。だってテレビがまず、ないん…

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2か月前

短編:袋小路

俺はどこにも行けない。ここが一番まともな選択肢だった。何かが追いかけてくる。俺は何もわからず逃げた。逃げ続けて、逃げ続けて、この古い炭鉱の袋小路まで来たのだ。俺…

コーヒーマメ
2か月前

短編:精神病院の手記

精神病院の手記 2024/07/15 俺は一体いつから狂っていたんだろう。今は○×病院の▲病棟に入院している。俺は最初、全能感、いや単に調子が良かったんだ、そういう日がず…

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コーヒーマメ
2か月前
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詩:不足

誰かがいればいいのに くだらない、足を引っ張らないやつ 嘘つきなんか全員だ 見抜いてあげる 会話が最低成り立てばいいんだ だからお前がクズでもいい でも間違ったこと…

コーヒーマメ
9か月前
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詩:傾聴

別にお前に聞いてほしいんじゃなくて 人の心の化石を作ってるだけ ぼくの詩は全部そう お前ってどうせ意味もわからないし ぼくの見てる世界なんか まるで見えていないし …

コーヒーマメ
9か月前
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詩:孵化

お前は救わなかった お前は救えなかった 人間の誰一人、僕を知らない 外面以外のすべてを お前は何一つ知らない お前何一つ理解できない 僕はできるだろう お前を理解す…

コーヒーマメ
9か月前

詩:嘘つき

大丈夫 嘘つきには慣れている 誰も私に正直な人間などいなかった お前は嘘つき でもどうでもいい それが普通だから 普通の中にたまに大嫌いな遺伝子がある ぼくはそれを…

コーヒーマメ
9か月前

詩:knock

多分卵の殻にはもうヒビがはいった もうすぐ 多分もうすぐ 人の加害がぼくの何かを目覚めさせる 長い長い 繰り返しの加害が もうすぐだろう もうすぐなんでしょう ねえ…

コーヒーマメ
9か月前

詩:ジャパニーズ・クリスマス

あなたのためにケーキを焼きました あなたのためにプリンを作りました けどフライドポテトはおやすみ 疲れてしまいましたから ケーキの上にはブドウとリンゴのジュレ プ…

コーヒーマメ
9か月前
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詩:死、悲しみ

冬に死ぬのと春に死ぬのはどちらがいいか 一人で死ぬのと胃ろうで家族と死ぬのはどちらがいいか なあ ぼくは全部悲しみだと思う 悲しみなんてね 全部とは言わないけど ほ…

コーヒーマメ
9か月前

俺は死んでいくのか

俺は死んでいくのか

健康診断の結果を見て、俺は沈鬱な気分になっていた。生きたくなんかない。そう思うほど辛い日々が続いた。人は裏切るし、社会に居場所はなかった。俺の心は常に引き裂かれるような働きで苦しめられていたし、あるいは自分で自分を引き裂こうとしていたのかもしれない。長い間そうだった。

しかし俺は実際、苦しみの結果が体に出始めたのを見て、素直にやっと楽になれる、とは思えなかった。俺は何のため

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短編:あばずれ

____ところでさあ、きみ、なんていうの?○○くんっていうんだ。ふーん。あたし?あたしはアイカ。え、かわいいって。源氏名だよ。嘘。ホントかも。どっちでもいいじゃん、そんなこと。
 あたし、頭おかしいんだよねえ。そう見えない?じゃあさ○○くんもおかしくなっちゃってんじゃない。ほら、同類みてさ、おかしいって思わないじゃん。やだ、怒らないでよ。冗談だって。

 お酒っておいしいよねえ。お酒、ホントは飲め

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短編:人格荒廃者のノート3

__2024年7月26日、○○さんのノートはあらかた目を通したが、意味のあるまとまりは全部で3つ、昨日までに発見した2篇と以下に書き記す最後の一篇が最後だった。定かではないが、彼女は恐ろしい幻覚妄想を抱いていた。そして同時に恋もしていたのだろう。物語は寓話的でひどく抽象的だが、おそらく描かれる感情が本質で形はなんでもよかったのであろう。
 全体を通して若い頃から連合弛緩が進んでいたと思われ、○○さ

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短編:喫煙所の布教者

なあ知ってるか。報酬系が死んでしまった人間は、廃人になるんだぜ。お前が毎日食べたくなるマクドナルドもコーラも寿司も牛ステーキも、何にも要らなくなっちまって、しまいには食べることもトイレに行くこともどうでも良くなって、大便小便は垂れ流し、1日天井を見てることすら気づかないまま半目で布団の上で終わりさ。俺はな、いつかそうなるんだよ。お前にはわからねえだろうな。知ってるか?芥川龍之介っていただろ。あいつ

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短編:人格荒廃者のノート2

__2024年7月24日、○○さんのノートには不明瞭な部分が大多数を占めるが、時折明確なテーマを持った文章が現れる。以下にノートからもう一つ物語を示す。カルテにはあまり多くの情報はなく、僕にはこれが意味するところがわからないが、解離やある種の性格傾向を描いていることが伺える。精神分析家は喜びそうだが、今の彼女は会話をできる状態ではない。

あるところにとても気の弱い、優しい少年がいました。少年は歌

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短編:人格荒廃者のノート1

__2024年7月22日、○○さんが若い頃に書いたと思われる古びたノートを渡してきた。私は××センターに赴任してきたばかりで彼女のことをあまり知らないので、若い頃の人格水準に興味を持ち、解読を試みた。以下に読み取れた文章を示す。これは民話の変形かなにかだろうか?○○さんは都会の育ちなはずだが…。

あるところに玉のように可愛い子供がいました。その子は恐れることを知らず、悪人と善人を区別することも知

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宇都宮ビジネスホテル記2024年1月

宇都宮ビジネスホテル記2024年1月

私はその日、特に何をする気もなく、年末の気だるい騒がしさの中にいた。今年も紅白も大晦日特番も見ない。だってテレビがまず、ないんだもの。情報はどこから手に入れるのって。今はスマホが四六時中ニュースを更新し続けている。だから何にも困らない。だけど、とにかく暇だった。テレビじゃ到底癒せないくらいの退屈だった。飢えにも似ている。

午後になるかというくらいに冬の明る

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短編:袋小路

俺はどこにも行けない。ここが一番まともな選択肢だった。何かが追いかけてくる。俺は何もわからず逃げた。逃げ続けて、逃げ続けて、この古い炭鉱の袋小路まで来たのだ。俺の住んでいた地域はかつての炭鉱町で、地下には縦横無尽に坑道が抜けている。俺は入口が中途半端に閉鎖されていた一つの坑道に入り込んでしまったのだ。

何が追いかけてくるのだろう。俺にはそれすらわからなかった。もしかすると、俺の中に眠る大昔の遺伝

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短編:精神病院の手記

精神病院の手記

2024/07/15

俺は一体いつから狂っていたんだろう。今は○×病院の▲病棟に入院している。俺は最初、全能感、いや単に調子が良かったんだ、そういう日がずっと続いて、じきに女にもモテるようになった。みんな奇妙なくらい控えめだが大胆に明らかに俺を誘っていた…それもつかの間だった。俺は一体いつからおかしくなっていたんだろう。

○×病院は長期入院患者が大半を占める田舎の精神科病院だ

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詩:不足

誰かがいればいいのに
くだらない、足を引っ張らないやつ
嘘つきなんか全員だ 見抜いてあげる
会話が最低成り立てばいいんだ
だからお前がクズでもいい
でも間違ったことはさせない

お前は代替可能で、私も代替可能
だから約束守るんでしょ
誰かと替えられないように

なんにも見えないお前達
なんにも知らないで傷つける
そんで何故かも知らないで苦しむ

バカだなぁ そう思って差し伸べた手は
振り払われる 

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詩:傾聴

別にお前に聞いてほしいんじゃなくて
人の心の化石を作ってるだけ
ぼくの詩は全部そう
お前ってどうせ意味もわからないし
ぼくの見てる世界なんか
まるで見えていないし

お前に期待なんてしないよ
お前が誰であれ

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詩:孵化

お前は救わなかった
お前は救えなかった
人間の誰一人、僕を知らない

外面以外のすべてを
お前は何一つ知らない
お前何一つ理解できない

僕はできるだろう
お前を理解すること
でもお前にはできない

僕は卵の殻を何度も叩かれた
卵が孵化する前に中身を
グチャグチャにするためだけに
ただの楽しみ、金銭のためだけに

でも僕は耐え抜いた
傷んだ部分は山程、本質を変えるほどに
僕は孵る 僕は孵る 僕は孵

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詩:嘘つき

大丈夫 嘘つきには慣れている
誰も私に正直な人間などいなかった
お前は嘘つき でもどうでもいい
それが普通だから

普通の中にたまに大嫌いな遺伝子がある
ぼくはそれをやはり憎むよ
お前たちも それ以外も
全員嘘つき そんなことはわかって
君たちと楽しくお話するんだよ
嘘つきと話すのはとても楽しいね
心の中で軽蔑しながらそう思う

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詩:knock

多分卵の殻にはもうヒビがはいった
もうすぐ 多分もうすぐ
人の加害がぼくの何かを目覚めさせる
長い長い 繰り返しの加害が
もうすぐだろう もうすぐなんでしょう
ねえ 答えて

ぼくはもうすぐ目覚める
でも何として?ぼくは予感する
やはり長く生きはしない
この世は、人間の可能性の汚さにはもう飽きた
じゃあ、やることをやろうよ

恒久平和のために、そう誰かが言った
そうだね 恒久平和のために死のう

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詩:ジャパニーズ・クリスマス

あなたのためにケーキを焼きました
あなたのためにプリンを作りました
けどフライドポテトはおやすみ 疲れてしまいましたから

ケーキの上にはブドウとリンゴのジュレ
プリンはかぼちゃ入り

本当は食べて欲しいけど
心の中で捧げましょう
ハイどうぞ 美味しいといいな

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詩:死、悲しみ

冬に死ぬのと春に死ぬのはどちらがいいか
一人で死ぬのと胃ろうで家族と死ぬのはどちらがいいか
なあ ぼくは全部悲しみだと思う
悲しみなんてね 全部とは言わないけど
ほとんどはいらないと思う

存在は心の中のものだ
身体なんか器に過ぎない
ぼくらは美しい世界に生まれた
そして汚された
ただそれだけのことだ

ぼくらは踊る 神の子である
目の光が踊る 笑顔が踊る
人は神のおもちゃでもあるから
悪魔の血が

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