海を、自然を乗りこなす :自然環境リテラシー学第2回
皆さんこんにちは。三重大学のフミでございます。
皆さんはこの7月、いかがお過ごしでしょうか。梅雨が明け、肌の焼けるような日照りにさらされたり、台風やらの影響で再び雨が続いたりと、とても不安定で気の抜けない日々ですね。自然というものは、気まぐれなものです。
さて、第2回自然環境リテラシー学のキャンプでは、鳥羽にある三重大学水産実験所を拠点として、カヤックで鳥羽の海をめぐる旅を行いました。
今回も、体験したことや、それで学んだこと感じたことを綴っていきたいと思います。
1日目
今回の自然環境リテラシー学の1日目は、三重県との連携で「みえアウトドアヤングサポーター育成事業」の一環でした。
さて、1日目の鳥羽は、あいにくの雨。
天候のこともあり、この日は集合してブリーフィングを終えたらすぐに海へ出ることに。何故か浮いていたシャケおにぎり(賞味期限1か月前)を拾い、1ヶ月ぶりの海へ旅立ちました。
雨が降り、雷注意報も出ている中、安全に十分注意してできるところまでやろうという感じで出艇しましたが、相当やばい天候にはならず、鳥羽の小浜周辺の湾内を2時間ほど漕ぐことができたのでよかったです。
今回私たちが漕いだ小浜周辺海域には、いくつか島が点在していて、それをまわるような形で移動しました。気がつくと岩場がすぐ下に見えてヒヤッとしたこともありましたが、間近で見ると迫力のあるものばかりで圧巻でした。観光船や漁船も何度か見かけ、鳥羽というところの海との繋がりの強さが垣間見えました。
岸に上がる前に時間があるということで、前回出来なかったセルフレスキューの練習をやることになりました。河芸の時とは違って波がなかったので、バランスを崩しにくいかと思いきや、それでもやはり要るバランス力と腕力と根性。コックピット内に水が入っているということもあり、前に進む度にカヤックが揺れ、何度もバランスを崩しそうになりました。やっとの思いでコックピットにたどり着き、無事最上艇することに成功。1ヶ月ぶりのリベンジを果たせました。その後、10秒もかからずレスキューを完了していたリーダーさんを見て驚愕しました。
カヤックを終え、昼食のパスタを食べ終わったあとは、近くの公民館をお借りして、今回カヤックの指導をしてくださった柴田丈広さんの講義を受けました。
前半は、鳥羽の海について。鳥羽の海は島が多くありますが、伊勢湾にあるので通常は穏やかですが、外洋に出るとうねりの影響を直に受けます。また、海流や潮流の流れの中に島があると、本来とは逆向きの流れ(反転流)が起きやすく、潮の流れにも現れます。潮汐表を用いて満潮や干潮の時間を予測しておくことで、漕ぎやすさや時間・力の配分などを決めることができますが、この反転流のようなその地域独自の流れの予測も必要になります。流れがきつい時は、岸の近くを通れば楽ということも新たに知りました。
後半は、柴田さんのシーカヤックによる冒険譚のお話。世界をめぐるカヤックでの旅、さまざまな人との出会い、そして海への向き合い方。セルフレスキューで疲れているにも関わらず、ワクワクして最後まで集中して聞くことができました。
夕飯はメスティン(飯ごう)で炊いたご飯に、先輩方に捌いていただいたお魚、持参の味噌汁を食べました。キャンプ中でありながらなかなか充実した食事が出来たんじゃないかと思いました。
2日目
2日目のカヤックでは、昨日と反対方向、ぐるりと小浜の半島を回って池の浦まで漕ぎました。
天気が良い。1日目の雨を経験した身としては、この日は海に出るのにとてもいい日だと感じました。
この日は出艇時に満潮、漕いでる間に潮が引いていくといった潮汐で、「行きは逆向きの流れで辛いが帰りは楽」というような流れだと聞きました。
そして、昨日聞いた事を実際に体感することになります。1日目と比べて流れの影響を受けたのか、全然前に進まず、めちゃくちゃあちこちに蛇行しかけ、岩にぶつかりそうにもなりました。しかし、少し腰を入れて深くパドルを回すようにすると前より速く進むことができ、「これがカヤックの楽な漕ぎ方か」という発見がありました。また、岸際を通るのと岸のないところあるいは岸の遠くを通ることでは受ける流れの影響が全然違い、「岸の近くを通るだけでこんなにも楽になるんだ」ということを体感しました。
目的地にもうすぐ着くというところで、時間があるのでスナメリを探すということに・・・なったかと思いきやいきなり二頭も発見。かなり運が良かったみたいです(笑)
お昼は、写真の海岸で食べました。みんな海で遊んだり、生き物を探したりしていて、すっかり海を楽しんでるなと感じました。この場所、森へ続くトンネルがあったりして、個人的にかなりワクワクする場所だと思いました。また準備を揃えて行きたいです。
帰りは潮の流れが進行方向と同じなので、行きと比べてかなり楽に進めました。漕ぎ方にも慣れてきて、みんなにも追いつけるように。
途中、変わった形の石が沢山ある岸に上陸。みんなが水切りをやっていたので私もやってみたところ、全然できず笑われてしまいました(笑)。練習しなきゃ。
この日も何度か客船を見かけることがあり、手を振っている人もいて、終始和やかな気分で渡航することができました。
さて、そんなこんなで楽しかった2日間のスケジュールも全て終わり、帰る時になりました。最後のみんなの1分間スピーチを聞くと、それぞれがとても色濃い思い出を残せたんだなぁと思いました。
僕は電車に乗ってて気づかなかったのですが、帰りの電車中に一雨振って、ちょうど上がった頃にみんなが乗り換え待ちをしてた駅と片付けをしていた水産実験所の二つの場所で同時に虹が見えたとのこと。
すごく素敵じゃないですか?僕も直接見たかった・・・
まとめ
今回は、鳥羽の海について知り、実際に体験できました。潮の流れや天候によって、「どこを通れば」「どうやって漕げば」など色々考えることがあり、カヤックの難しさと楽しさを改めて実感しました。
世界にある海の数だけ、天候、潮の流れ、風の強さ、水の冷たさなどは異なります。だから、航海では海の特徴を「知り」、最適な漕ぎ方やルートを「考える」ことが重要なんだということを学びました。それだけでなく、その場の状況の変化に応じて「臨機応変に対応する」ことも大事だと感じました。
カヤックがメジャーに狩猟で使われていた時代からずっと、人間はこうして海と向き合い続けてきたんじゃないかなーと思います。
この記事を書いていて、航海中に使えるカメラが必要だと感じました。前回に続いて今回も、使われた写真は共有されたものをお借りしたものです。どれも素晴らしい写真ばかりで、自分で撮れなかったようなものもあるのですが、やはり自然環境「リテラシー」学として、自分で良いと感じたものを撮って、載せたいと思いました。1つの反省点として、次回までに何か用意したいと思います。
次回は熊野街道を3泊4日でまわる予定。自然環境リテラシー学の中でもきつい言われるプログラムです。しっかりと準備をして、最大限楽しめるようにしたいです!
それでは第3回の記事でお会いしましょう。お読みいただきありがとうございました。
☆柴田丈広さんについて知りたい方は、以下のリンクを参照してください。