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【上京の話】北海道の田舎から東京へ
これは、10代とかの若い頃の話ではなく
20代中盤になってからの話
自分には夢があった
障がい児にの療育に関わる仕事がしたい
1.上京前に
大学では心理学を学び卒業したものの
就職はなく、地元北海道の団体職員として就職心理学は全く関係ないものの
一人で生活するには問題ない程度の
収入が得られる職を得た
人間とは単純で興味の有無に関わらず
仕事ができるとそれなりに楽しいもので
何だかんだと数年が経っていた
そんな中、チャンスは急にやって来た
2.転機
教育訓練給付金が増額している…
条件を満たせば
学費の半分と生活給付がもらえるように
制度改定が行われていた
いつか夢に向かって動きだそうと
少しの蓄えと情報収集は怠っていなかった
ことが功を奏した
心理学を学んだ者としては
「公認心理師」を目指すのが良いと
思っていたが
残念ながら給付金の対象外
ならばとそれに近い職種を探し
たどり着いたのは「言語聴覚士」
最短2年で資格取得が可能で
金銭的にも年齢的にも
ぎりぎり妥協できる期間だった
資格取得後の就職も見つかりやすい点も
良かった
そうして資格取得に向け動き出した
3.上京へ
資格取得には学校に通う必要がある
2年で資格取得が可能な学校は北海道になく
やむなく進学先を全国に求めた
引越や就職活動で北海道へ行き来することや
国家試験の合格率、生活費、学校の雰囲気などを
考慮し、進学先を西東京のとある学校に決めた
4.東京での暮らし
東京は広い
都心ではなく西東京までいってしまうと
そこは地方の中堅都市といった雰囲気
ショッピングモールや飲食チェーン店はあるが
高層ビルはなく
大きな建物はせいぜい駅周辺のマンション
住宅の隙間に茶畑があり、その点は
広大な土地に見渡す限りの畑がある
北海道とは違った景色で新鮮だった
田舎との違いは
買い物に不自由はしないこと
雪も降らなくて
都市ガスがあるから光熱費も安いこと
上京するときに自動車は手放したため
徒歩や自転車が移動手段となったが
公共交通が充実しており
そこまで不自由は感じなかった
都心と違って家賃も北海道とそう変わらず
車を手放した分、むしろ生活費は下がった
学校生活はそこそこ忙しかったが
遅く始まり決まった時間に終わる授業
対顧客によるストレスからの解放で
精神的にかなり楽だった
同じ目標に向かう仲間たちと過ごす時間は
充実しており
まさに第二の青春といった具合だった
5.東京はどんな場所だったか
都会の人は冷たい、と言われるが
そんなことはなかった
むしろ、社会的な異物たる
自分が紛れ込むには
ちょうど良かったように思える
他人の目が常にあり、世話を焼いてくれる
ことを温かさという風潮もあるが
温かさとお節介は紙一重
むしろ大きな人口を抱え
多様な生き方をする人々が暮らす東京は
どんな人でも受け入れる「包容力」と
「寛容さ」があると感じた
自分のやりたいことを誰にも干渉されず
時間とお金が許す限り思い切りできる環境が
そこにはあった
6.それでもまた北海道で
資格取得後、北海道に戻ってきた
そのまま東京に残る選択肢もあったのだが
全体的にせせこましいと感じたこと
夏ははむし暑すぎて、冬は乾燥しすぎる気候も
自分には合ってなかった(肌荒れするし…)
それらを考えるとやはり
北海道が肌に合う
見渡す限りの畑と大地から吹く風、
海際の波の音とカモメがなく声
やはり自分はこの空気が好きだ
東京で自分が変わった、とは思っていない
どこにいても、誰といても
自分は自分だ
しかし東京では自分の色を濃く出せた気がする
それはきっと東京の「寛容さ」と「包容力」の
おかげなのだろうと思う