ものづくり系コンサルが薦める本 Vol.9 「儲かる経営の方程式」相馬裕晃著
世界的な名著ゴールドラット博士の「THE GOAL」の日本版という感じ
内容は小説形式となっており、本書が提唱するMQ会計×TOC(制約)理論をはじめ、マーケティング理論(ペルソナ、4P/4C)、SWOT/クロスSWOT分析などが学べる
小説としても面白く、最後は感動的なクライマックスっ!
会計やマーケティング初学者や管理職など幅広いビジネスパーソンに薦めたい!!
✅あらすじ
東京墨田区にある老舗時計部品メーカー「千葉精密工業」が舞台。
経営者の父の急逝で社長に就任した、娘の千葉早苗が主人公。
会社は製造部と営業部の対立もあり、業績が危機的な状況が判明。
米国ファンドからの出資で一時的に危機を回避するも、1年後に業績回復しなければ経営権が剥奪される事態に。
早苗は、会計士でコンサルタントの川上龍太のアドバイスを得て、MQ会計やTOCの理論を学び、経営の立て直しを図り、見事業績を回復させる。
そして最後は早苗と龍太が、、
✅MQ会計とは何か?
6つのローマ字だけで損益を表現します。
Pは一個当たりの売価(Price)
Vは一個当たりの変動費(Variable Cost)
Mは一個当たりの付加価値(Marginal Profit)
Qは販売数量(Quantity)
Fは固定費(Fixed Cost)
Gは利益(Gain)
以下は6つのローマ字の組み合わせでこのように表現できますね。
PQは売上(一個当たりの売価×数量)
VQは変動費(一個当たりの変動費×数量)
MQは付加価値(一個当たりの付加価値×数量)
つまり、売上(PQ)=変動費(VQ)+固定費(F)+利益(G) となります。
これを図示したものが下の表となります。どうでしょう? 結構シンプルじゃないですか? これだと会計に詳しくない人でも理解できるのではないでしょうか??
✅MQ会計の使い方
MQとFの大小関係で儲けたか(Gがプラスとなったか)どうかが決まります。
MQ > Fなら黒字
MQ = Fなら損益トントン
MQ < Fなら赤字
あと、いろいろと試算する場合にも使えます。
例えば、上の表を基準に、P(売価)を2割下げて(10→8)、Q(販売数量)を1.5倍(20→30個)にした場合、G(利益)はどうなるのでしょう。
販売数量は増えましたが、G(利益)は変わってませんよね。一方、利益率は10→8%へ低下します。現状の価格のままでいいのではないでしょうか。
では、次にP(売価)を2倍して(10→20)、販売数量を半分にした(20→10個)場合はどうでしょう?
G(利益)が20→60になりましたね。利益率も10→30%になりました。販売数量が本当に半減程度で済むのなら、値上げはすべきですね。
このような感じで、6つのアルファベットの意味を理解するだけで、会計に普段なじみのない方とも会話することができますよね。
本書では、売上市場主義の営業部とコスト削減をガンガン進める製造部が、このMQ会計を理解してからは、共通言語で会話することができ、同じ方向を向いて会社を改革することができました。
✅この本で学んだこと
スループット会計やTOCと考え方が似ているので理解しやすかった。本書でも以下のように説明してます。
TOCやスループット会計を知りたい方は以下もご参照くださいませ。