見出し画像

ものづくり系コンサルが薦める本 Vol.8 「仮説思考 内田和成著」


  • 著者はボストンコンサルティンググループのシニアアドバイザー→早稲田大学教授

  • 若手時代に先輩コンサルタントから「仮説思考」法を伝授される。

  • 米Consulting Magazine誌により「世界の有力コンサルタント25人」に選出


✅仮説思考とは何か?

  • まず「仮説」とは「証明はしてないが、もっとも答えに近いと思われる答え」、仮説思考とはものごとを答えから考えること。仕事ができる人は、限られた情報から「自分の答え」をもち、その答えが「正解かどうか」を検証するために情報収集を行う。

  • 仮説思考の反対は「網羅思考」、これはとにかく情報収集して、積み上げで答えを探し出そうとする思考法。

  • ものを探すときに、網羅思考は部屋の隅から順番に探すのに対して、仮説思考は、そのものがどこにありそうか、あたりをつけてからその場所を探す。どちらが効率的か、わかりますよね?

✅なぜ仮説思考が必要なのか?

1.情報洪水におぼれなくなる

  • 意思決定には情報は必要だが、情報が多すぎると意思決定が遅れる。

  • 例えば、無暗に情報を収集し、それを纏めて分厚い報告書に仕上げたとする。その報告書の作成にも時間がかかるし、これを見て経営者が判断するにも情報が多すぎて判断を遅らせることになる。

  • 意思決定で必要なのは、選択肢を絞り込む情報である。

  • 数ある「答え」のなかから一番効果が大きいと思われる「答え」を最初に絞りこみ、その「答え」を徹底的に分析し正解であるかを証明したほうが迅速な意思決定につながる。

  • 例えばレストランで、たくさんメニューがあると迷うが、おすすめのメニューとその理由が書いてあった方がすぐに注文することができるのではないか。

2.大きなストーリーが描けるようになる

  • 仮説思考を使えば、手元にあるわずかな情報だけで最初にストーリーの全体構成をつくることができる。

  • 「現状分析するとこういう分析結果になるだろう、その中でもこの問題の真因はこれで、その解決策としていくつか考えられるが、最も効果的なのはこの解決策だ」という全体ストーリーをまず作る。

  • その全体ストーリーに沿って情報収集や分析を行う。全体ストーリーの仮説が間違っていてもお構いなし。適宜修正を加えながら作り上げていけばよい。

  • 仕事ができる人はパワーポイントを作成する際に、まず全体のストーリーラインを考えて、それに従って各ページごとに訴求したい内容をメモ書きで書いて、あとはメンバーと分業しながらデータを加えたりして仕上げてないだろうか? まさにそのイメージが仮説思考である。

  • 網羅思考だと細かい情報、事象から入るので、全体像が見えるまでに時間がかるし、時間切れで全体像にたどり着かないこともあるだろう。

  • 会社の部下がものすごい量の報告書を一人で作ってきたが、結局何を伝えたい報告書なのか分からない最後までわからなかった経験があるのではないか。

✅仮説思考の成功事例(セブンイレブン)

  • 著者曰く、セブンイレブンの成功の秘訣は「仮説→実験→検証」のプロセスを高速で繰り返していること。

  • 鈴木敏文会長(当時)は「自分たちの仕事は、どうやったら売れるのかをまず考えてみる。最初に仮説を作るのだ」

  • おにぎりの相場が100-130円の時代に「品質がよくて味がよければ200円のおにぎりでも売れる」という仮説を立てた。

  • まず、消費者がおにぎりに「価格」「安さ」を求めているかを調べるために赤字覚悟で100円で販売した。すると売上が20%伸びた。次に「味と質がよいおにぎり」を200円で販売した。すると、20%以上も売上が伸びた。

  • このような仮説→実験→検証をPOSデータを使って365日行っているのだセブンイレブンの強みである。

✅仮説思考力を高めるトレーニング

  • 1つ目は日ごろから「So What??(だから何?)」を考え続けること

  • たとえばIPODが流行った時に、「So What?」と自問する。IPODが流行すればどんな影響があるのか?? ウォークマンはどうなるのか?人々のライフスタイルはどう変わるのか? などなど

  • 2つ目は「なぜを繰り返す」

  • 「なぜ野球ははやらないのか」「なぜ?」「つまらないから?」「なぜ?」「スターがいないから?」という感じで5回は繰り返してみよう。

✅この本で学んだこと

  • コンサルタントやビジネスパーソンは限られた時間でクライアントや自社の真因を見つけ、効果的な解決策を提案しなければならない。網羅思考ではとても間に合わない。変化が激しく人手不足の現代のビジネスパーソンにとっては仮説思考は読み書き算盤と並び必修科目ではないかと思う。

  • 仮説思考は経験を積めば積むほどその「答え」の精度が高まっていく。ライバルの差をつけるうえでも、早い段階から仮説思考を意識的に身に着ける訓練をしたほうがいいのではないか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?