【小説】ゴミ捨て場にて
男:おう。多江さん、おはよう。
女:ああ。松尾さん、おはようございます。
男:冷えて来たね。
女:朝晩はねー。今日は分別、ちゃんとされてますか?
男:うーん。怪しいのが2、3個あるな。
女:あらー、そうですか。
男:まあ、この辺も若い人が増えて来たからね。
女:手伝いますよ。
男:いつも悪いね。頼む。
二人はゴミ袋を広げ始める。
女:今日も小学生たちが元気に登校していますねえ。
男:本当だ。
傘持ってない子がいるな。
今日は昼から雨だった気がするが。
女:風邪ひかないといいですけどねえ。
男:多江さん、ここに住みだしてどれくらいになる?
女:そうですねえ。3年くらいでしょうかねえ。
男:もうそんなになるか。
女:長いような、短いような。
男:まあ、元気そうで何よりだよ。
女:松尾さんのおかげですよ。
男:何言ってんだよ。
女:ふふふ。
男:あ、笑ってやがる。
女:ふふふ。
男:わははは。
女は男の顔を見る。
女:ありがとうございます。
男:いや、あんたが自分で乗り越えたんだ。
女:ありがとうございます。
でも、そのきっかけをつくって下さったのは松尾さんです。
男は顔を掻く。
男:さあ、あと一袋片づけてしまおうか。
女:はい。
男はゴミ袋を開ける。
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