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Fivestarsにみるブロックチェーンマスアダプションのカギ

みなさんこんにちは!0時の木(@BCGtree)です!
先日公開されたFivestarsの解説記事はみていただけましたでしょうか?
まだ読んでいないという方はぜひご一読ください!
https://note.com/modern_murre161/n/n7c40fb28505c

今回は私がFivestarsを実際にプレイして感じたこと、考えたことを書いてみたいと思います。

結論として、Fivestarsは多くのWeb3ゲームが抱える課題に対する、1つの解決策を提示しているように感じました。

・今のWeb3ゲームの課題点
Axie InifinityやSTEPNをプレイしてきた方は肌感があると思いますが、NFTやトークンを全面に打ち出した“稼げる感”の先行するプロジェクトは、初期ユーザーが投機勢に占められてしまい、健全な経済圏の構築が非常に難しくなります。また、投機勢に加えて、稼ぎ目的のBotがはびこることも珍しくありません。Web3ゲームではユーザー全体の40%がBotだという指摘もあります。
https://crypto-times.jp/web3-bot/

このような状況に対し、多くのプロジェクトがトケノミクスの調整というテクニカルなアプローチで対処しようとしてきましたが、長期的にそれでうまくいっている事例を見たことがありません。

トークン、NFTといったWeb3の魅力を取り入れつつも、それが「投機」だけに回収されてしまわない形で、いかにしてWeb3ゲームを立ち上げ、運営するのか?この点が今のWeb3ゲームの直面している課題だと考えています。

□Fivestarsをやってみて感じたこと
Fivestarsをガッツリ遊んでみて感じたのは、「別に稼がなくていい人」と「稼ぎたい人」がうまく共存している、ということです。
言い換えると、Web2ゲームとWeb3ゲームのハイブリッドが実現できていると思いました。
イメージですが、Fivestarsのユーザー層は概ね以下のような比率に分かれていると見ています(0時の木調べ)。
・無課金:75%
-稼ぎ目的:50%
-楽しむ目的:25%
・微課金:20%
・廃課金:5%

Fivestarsはゲーム自体が面白く、クオリティも高いため、ゲームをプレイする動機が稼ぐことだけにならず、より長期的に遊んでもらうことができます。また稼ぎを気にしない課金層が一定数いることにより、投機勢に支配されたゲームよりも持続可能な経済圏が作れています。

・Fivestarsがユーザーの共存を実現できている要因

①    短期的に大きな利益を出しづらい設計
Fivestarsは短期的に大きな利益を出しづらくなっています。
具体的には、低確率で落ちる高レア装備やラストアタック、キャラ売買が主な稼ぎになっており、最初から利回りを計算して安定的に稼ぐ、ということはやりにくい方式をとっています。
ある程度ゲームをやりこめば一定の稼ぎを得ることは可能ですが、あくまで「ゲームを楽しむ、その結果として、多少稼げてハッピー」という程度でEarn要素を意識的に薄めているように見えます。
https://twitter.com/haruma_bcg/status/1619254612711870464?s=46&t=OGu9CbeLfeyZCa1Vhw4O4A
https://twitter.com/Oswald8686/status/1629432818236526593?s=20
https://twitter.com/cm_jpt/status/1621894726940254208?s=20

②    プレイヤー属性の変化を自然に引き起こすゲーム設計
Fivestarsは普通のWeb2ゲームとしてのクオリティが高いため、「稼ごう」と思って始めた場合でも、なかなか稼げず(だけど楽しいから続けてしまう)、結果的に純粋に課金してしまう、という初期の動機からは矛盾した行動が自然と起きています。
https://twitter.com/cm_jpt/status/1624668762392907778?s=20
https://twitter.com/mapupresident/status/1625453949166956545?s=20

これはつまり、ユーザー属性は流動的で、ゲームをする中で入れ替わっていくということです。「稼ぐつもりで始めたけど面白くて課金額のほうが多くなった」「ゲーム面白そうだから始めたけど、稼げるということを知りトークンを引き出してみた」というように、流動的なプレイヤー属性の変化(稼ぎ重視⇔ゲームを楽しむ)をゲームサイクルの中で引き起こせている、と見ることができます。

稼ぐ目的でゲームを始めた人がいつの間にかゲームにはまり、純粋な課金をするというのは経済圏にとっても非常にプラスなことです。
その逆については、経済圏的にはプラスとは言えませんが、Web2ユーザーをWeb3の世界に導いている、といえますし、自然にトークンやNFTを手に入れ、使うことによって、ゲームの継続率には好影響がありそうです。またNFTの購入などに興味を持つきっかけになればなおさらです。

③    Web2ゲームのビジネスモデルの採用
Fivestarsは一般的なWeb3ゲームのようにNFT販売メインで売上を立てるのではなく、通常のWeb2ゲームと同じく、ゲーム内課金(法定通貨決済)が収益源となっています。
最初にメタマスクを作って、トークンを取引所で買って、それでNFTを買って、というハードルがないため、Web3ゲームに慣れていない普通のWeb2ユーザーも違和感なくゲームを始めることができます。

□最後に
ここまでFivestarsの優れた点を紹介してきましたが、正直、私はかつてのAxie InfinityやSTEPNほどFivestarsが爆発的に流行るとは思っていないですし、万人に受けるタイトルだとも思っていません。Web3ゲームとしてインパクトに欠けるというのは事実としてあると思います。しかし、今後Fivestarsのような作品が増えていき、知らないうちにWeb3ゲームに触れている人が増えていく、それによって静かにマスアダプションが進んでいく、というシナリオはありうると思っています。

ブロックチェーンでしか成し遂げられない、とてつもなく新しいことを追い求めるのもロマンがありますが、現時点でマスの一般ユーザーはあまりその部分に興味を持っていないように思えます。ブロックチェーンの本質的な価値がマスに理解されるのは、もっとWeb3ゲームが一般的になり、その結果としてブロックチェーンに対する理解が進んでからなのではないのでしょうか。そのような意味で、ブロックチェーン自体のマスアダプションの先陣を切るのは、Fivestarsのようなゲームなのではないか、と考えています。

まとめますが、Axie InfinityやSTEPNのようなキラーコンテンツだけがマスアダプションのカギを握っているわけではなく、今後Fivestarsのようなタイトルがたくさん出て、既存のゲームユーザーが知らぬ間にWeb3ゲームに触れて、ゲームにブロックチェーンが利用されているのが当たり前になる。そのような形でマスアダプションがなされる世界線もあると思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
これからもWeb3ゲーム中心に思ったことや感じたことを発信していこうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

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