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蝶と胡蝶の夢【ショートショート】

本編

 小学3年生の頃、「蝶博士」と呼ばれるほど蝶が好きだった。羽の綺麗さだけでなく、幼虫の足の動き、サナギを作ろうとする動きなど、蝶の全てに魅せられた。
 蝶と言えば、「完全変態」の昆虫であることは有名であるが、サナギの中でどのような状態であるのかはあまり知られていない。蝶の幼虫は、青虫や芋虫など。それらの虫たちはサナギの中で、一部を残してすべて溶ける。その後、自分の体を新しく構築する。
 まるで輪廻を巡るようだ。
 幼虫の頃の体を溶かし、羽化し飛び回る蝶。果たしてそれは幼虫の頃と同一であるのだろうか。
 「蝶の一生」とは、どこからであるのだろうか。

 「胡蝶の夢」という言葉がある。
 蝶として、楽しく空を飛び回り、ふと目が覚めて、自分が荘子であることに気づいた。荘子である自分、蝶である自分、どちらが夢であるのか彼自身にもわからなかった、という話だ。
 その話を習ってからいつも、美しく舞う蝶に心の声で尋ねている。
「あなた、前世の夢を見たことはありませんか」


あとがき

ショートショート初投稿です。最近短編を書くのにハマり、書き溜めていたものの中で、作品賞に応募するには文字数が足りないものを先に公開しようと思い、noteおよび、 pixivの方で公開させていただきました。
基本的には実話です。
文字数的には420文字くらい。皆さんの心に届いたら幸いです。

双村琴音

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