妖夏

詩や絵画の感想を書いています。 大人向きです。

妖夏

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最近の記事

幸せの場所

自分を幸せにするのは難しい 簡単な時期があったのかも 今は彷徨い絶望し諦める言い訳を考る 私は言葉を持たない 気持ちを表せないし伝えられない 方法もわからない ああスデなのないのだ なにもできない わすれるため 漂い彷徨いうつろう ふとめざめると自分が変わり 痛みなくただ生きているだけ 紙切れになろう ただあるだけの文字になれたら

    • 命と死の季節(詩)

      生き残れなかったイルカ 生きている沖を泳ぐ兄弟たち 初夏の岸辺は死と生を同時に見せる 早く落ちてしまった燕 巣立っただろう姉妹たち 朝日のあたる街は死をかいまみせる 海の景色を変える朝日には匂いがある 日を浴びて海藻は匂いをはなち 歩けば砂が音をたて自分を支える この懐が無限の優しさに見える 虫たちは踏み潰されながら跳ね 海藻を分解する 無限の死と生は複雑な匂いを放つ 夜が明けるのはいつもすばらしい 暗闇は自分を閉ざしてしまう ただ時間がすぎるのを待つ苦痛の時 そしてやっ

      • 月明かりの波間(詩)

        新しい発見と感動 初秋の満月の頃 波間に光る月明かりが浜を照らす だれが教えたか 子亀が顔を出し様子を探る 暗くなるのを待ち天敵をさけ かすかな波の明かりを探り ひたすら進む 何度か迷い確かめながら 大海に泳ぎゆく 4CMの子亀が勇気と生命力で旅立つ 数年後でも数十年後でも 戻っておいで 私も大きな満月の頃 あの時の子亀を想いながら 待っているよ 子亀の生命力と運を信じて 106匹の1匹が この海岸の匂いを覚え 戻ってね 待っるよ

        • ふるさとの景色(詩)

          早朝の海辺の散歩 波の冷たさがここちよく 足跡と過ちを消しさる 忘れる事を促すように 見渡すと広がる 故郷の懐かしい姿 3度目の夏なのに 10年経ち帰ってきた感じ 朝日はオレンジで靄がさし 数千年前と変わらぬ景色のよう 私はいつの時代に生き ここを歩いているかわからなくなる 優しい眼差しで振り返るあなたが見える 雪の日送ってくれたあなたがいる 背中を見送っているあなたが好き 故郷の冷たい海と霞んだ景色 しばし波の流れにまかせよう いつもあなたを感じ幸せ 迷いただようの

          闇に浮かぶ小舟(詩)

          暗闇と僅かな街灯の頃 終バスを待ちあなたの元に 靴が沢山ある所を乗り越え 直ぐ右の6畳の部屋 机と布団だけの世界 いつも帰る部屋 他のものは視界にない あなたとだけの空間 夜が更け音は2人の声だけ 衣服を捨て小舟に横たわり 一日が始まる 風も不安もない湖に 浮かんでいるよう 時折強く揺れても あなたにつかまっていれば平気 二人を隔てるものはなにもなく 手に触るのはあなただけ 時折見るのはあなただけ 時に囚われなく 人に煩わされず 物にこだわらず 今を生きるだけ

          闇に浮かぶ小舟(詩)

          真夏の2人(詩)

          真夏の朝5時波打ち際で砂と遊んだ2人 真夏の朝6時トンビと虹を見つけた2人 真夏の12時かつおとなすに感謝した2人 真夏の昼1時雲の動きを眺め微睡む2人 真夏の午後3時稲穂の色が日々変化する事に気づいた2人 真夏の夕暮れ6時空の色に見とれていた2人 真夏の夜9時汗だくでとろける2人 真夏は2人の今と未来を幸せにしてくれる 真夏が暑く続く限り変わり実り成長し 残りの季節と2人を豊かにする

          真夏の2人(詩)

          たまごの中(詩)

          私は卵の中で生きている 暖かく濡れて皮膚で呼吸する まどろみながら ひたすらあなたを待つ 永遠に待っていると 突然あなたは入ってくる 私をさわる手を感じる 手は冷たく荒れてガサガサ それだけが外の世界の情報 音楽が変わり 匂いが満ち急に熱くなる 私は直ぐに気を失い別の世界に舞い上がる 私の意識は既に脳裏にはない 遠くあなたの声と私の声が聞こえる わたしを包んだ卵は ぽんと宇宙に放り出されたよう この上ない快楽の後 私は静かに漂いながら深海に沈んでゆく 幸福感が私を満たす 私は

          たまごの中(詩)

          秋の月明かり(詩)

          駅のホームにあなたが見える やっとあなたが帰ってきた 駆けていこうか、息切れしていたら 私があなたにまだ夢中だと バレてしまう どうしよう、やっとあなたが帰ってきた 胸がたかなり舞い上がってしまう でもじっとしていられない、 なにげなくを装い迎えに行こう 化粧を整え静かに、 けど笑みがこぼれてしまう あなたもとてもうれしそう これが今日最高の時 一日がずっと長くて、寂しくて 待ち焦がれていた ほんとの事いうとあなたは 命の恩人なの 一度のメール、一度の電話が 私をどん底から

          秋の月明かり(詩)

          クリムト 接吻

          これは全ての男性が持つ魔法を表現している。 男性がイケメンでもなく、若くもなくて大丈夫なのだ。 女性の足がL字だが、ここは'く'の字で 抱かれて膝から崩れる動きを入れ欲しかった。 できれば目を開けてあっという力が抜ける表情を描いて 欲しかった。もしこの魔法が相手の女性に 全然効かないなら早く諦めて他へ行ったほうがよい。 あなたの重要な価値ある資源の無駄遣いになるから。

          クリムト 接吻

          ウルビーノのヴィーナスとオランピアの比較と共通点

          ウルビーノのヴィーナスは 女性の裸体の一番美しい時を見せてくれる。着替え前の 設定にも関わらず、女性の目は見ている人をベッドに誘っている。 左手はすぐにお迎えできるか確認しているようである。 右手にもった花は香で演出効果をあげようとしているので あろう。この誘惑から逃げられる男性などいるのであろうか。 彼女のベッドの手前は開いている。 一歩踏み出せばそこは快楽の世界なのだ。 マネのオランピアはティツィアーノに比べると 女性の面差しと肢体が全く異なっている。 豪華なお花のプレゼ

          ウルビーノのヴィーナスとオランピアの比較と共通点

          カミーユ・クロディールとその作品

          彼女の写真を見ていると、その映画で イザベル・アジャーニのような美しい女優が 熱演しても比較にならない位見劣りしてみえる。 カミーユ・クロディールはなにも演じていないのだ。 写真だけで一途さや迫力、美しさ、才気が伝わって来る。 ジュリア・ロバーツが演じるエリン・ブロコビッチや ホテル・ルワンダの時も感じたが どんな俳優でも演じられない本人しか持てない 迫力が俳優の演技では伝わってこないのである。 両方とも映画の最後にちょっと当人が出てくるが めちゃくちゃかっこいい。 カミーユ

          カミーユ・クロディールとその作品

          アンリ・ルソーの冒険の世界

          女性は現実の世界を表現し この絵の世界との接点として機能している。 ジャングルへの冒険はだれもが夢見る異世界の楽しさと 興味、不気味さを表している。 ライオン、象、原住民の魔術師、鳥 見知らぬ木々が茂る深いジャングルは深い広がりがある。 現在だとゲームをする時の状況に似ている。 ゲームする手が自分で、そこから想像の世界へ繋がっていく。 やはりそれは冒険と探検の旅の始まりで そこではだれもが英雄となれるのだ。 この絵の前にたつとワクワクとドキドキの 冒険の出発を経験できるのだ。

          アンリ・ルソーの冒険の世界

          忘れ得ぬ女、又は見知らぬ女

          馬車で一瞬に通り過ぎたが、雰囲気が凄く悲しげで、深く惹かれ、記憶に残る状況が推測される。 贅沢な装いに似合わない悲しげな瞳が何かを訴えている。愛する人と別れたばかりかもしれない。それとも家族との別離を決意した直後だろうか。 彼女はグルジア美人の典型に見える。トップバレエダンサーのニーナ・アナニアシヴィリにそっくりなのだ。 又、この頃の結婚は裕福な男性が若くて綺麗な女性を娶り、女性の側はかなり高齢の男性と結婚し、子供を授かり恵まれた人生を送るはずなのである。 しかし、高齢の男性

          忘れ得ぬ女、又は見知らぬ女

          思春期 (エドヴァルド・ムンク)

          緊張感で大きく見開いた目の少女と少女より大きな黒い影は 本人より大きく不気味な顔がわずかに浮かんでいる。 シーツは生理出血で汚れている。 少女はまだなにも知らず未来が予測できるわけでない 仮に彼女になにか教えたり指示などできるであろうか。 いまの自分の失敗や教訓のなかに なにか少女に伝えられるもの等あるのだろうか。 この少女の未来に役立つものなどあるのだろうか。 生理出血は少女の体の未知なる未来を表している。 少女は自分を支配している体の生理に強く不安を覚える。 これから自分

          思春期 (エドヴァルド・ムンク)

          ゴッホの輝ける風景画

          「荒れ模様の空の麦畑」をあげたいと思います。 40年以上前に日本橋高島屋で展示のあった 風景画を出したいのですが今探しても見つかりません。 その絵を高島屋で見たときはかなり感動しました。 ゴッホのそれまでのイメージと異なるものが伝わって来たのです。 絵に表現されているように、 自然を光輝いて生命力にあふれる動的な 広がりと見ることができるゴッホに驚嘆するだけでした。 全く同じ景色をみても人により異なる事はよくあります。 ゴッホは実際は悲惨な人生を送ったと思い込んでいました。

          ゴッホの輝ける風景画

          モディリアーニの唯一無二で代えがたい魅力

          私が一番の魅力を感じるのは裸婦像の皮膚の体温です。 肌を重ねたときの暖かさと汗と匂い、 挿入の時の感激と幸せ感は他に代えがたいものが あります。その体温と幸せ感を表現できる 画家がモディリアーニなのです。 裸婦像の他に少女や少年の絵もありますが 子供たちの肌感や体温の表現は比類のないものです。 彼ら彼女らがキャンバスの前で生きていた 証が温度で伝わって来ます。 10年以上前になりますが、アメリカ東海岸の博物館等 を巡っていた時公園の脇をバスで走っていて なぜか建物の周りに人が

          モディリアーニの唯一無二で代えがたい魅力