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探究学習のマインド形成 4

 探究学習の成立には、私自身のあり方の確立が必要…ということに気づきました。確かに…学生時代のゼミで教授は具体的に何をするわけでもないのですが、教授によって「行き詰るゼミ」「深まるゼミ」にわかれます。
 「あり方」なんですね。

◆探究が討議・創造までは進まなくても…
 私の力量では書籍や実践で示されているような学びには到達できないことがわかってきました。生徒の問題ではないのです。教員側の問題。
 では、今の力量ならどこまでいけるかです。
 いろいろ考えてみると「集団知の形成」ならクラス単位でも実現できそうです。正解のある問いに対して集団知によって考察の底辺を広げ、正解の精度を高めるという流れ。この流れであれば「センター対策」を求める生徒さんも納得できるかもしれません。

◆少人数だとできるが、人数が増えるとできなくなること
 大学入試の小論文対策という明確な目的のもとに集まる生徒さんは意欲が高く、自分が不足していることに対する知識欲・改善欲求が強いです。
 問題発見とその解決で言えば、「問題発見」については自走できるということ。ファシリテートが必要なのは「解決」のパートになります。
 しかし、クラス単位の授業では「問題発見」のパートを丁寧に行う必要があります。生徒さんには「論点って何?」という状況や、「感情論を二分法で表明するのが討議」と思い込んでいる生徒さんもいます。出題意図の理解、問題発見、論点の設定について循環するデザインを立て、考察を深める仕掛けが必要です。

◆デザイン思考にあり方を求める
 まず「観察」ですね。
 観察という意識があり方になってくると、先入観や他責思考から解放されるようになってきました。内省や言語化も進みます。
 そして、単元の最初、本文を読んだ生徒さんに、本文の理解度についてこんな問いかけをして授業をスタートしていました。
 1.書いてあることが読み取れない
   
(国語力・語彙力などの問題)
 2.文章は読み取れるが、内容を理解できない
  
 (自分の知識・体験と結びつけて理解することができない)
 3.内容の理解はできるが、自分の知識・体験と一致しない
  
 (未知の概念が理解できない)
 4.内容の理解はできるが、自分の価値観と異なるので受け入れられない     
   
(主観や先入観によって客観的な理解が進まない)
 5.筆者の主張に矛盾や論理の破綻があるので筆者の意図がつかめない
   
(この場合は、書き手の問題)

 この問いかけは、「わからない」を可視化・言語化することが目的です。
 そして、個々のわからないを、集団でわかるにするという流れ。
 理解の凸凹を組み合わせることで、正解の精度を高めるというよくあるパターンですね。これは小中学校で体験しているためか、予想以上にサクサクと進みました。
 生徒さんのフィードバックには、読み違い・思い込み・勘違いの修正が進んだと書かれていました。「わかったつもりだったけど」という内省が生まれたようです。また、グループで読むという作業は、「得点力向上にはならないが失点予防にはなる」という感想もありました。

◆授業に対する意欲・効果・信頼を高めるもの
 国語が苦手な層には、わからないの解決~得点力の向上という期待が生じたようです。国語が得意な層は、勘違いの修正や失点予防という効果を認めてくれたようです。
 また、生徒さんの「わからない」は、上記2~4にほぼ当てはまることもわかってきました。であれば、その状況に沿った学習理論をベースにした授業設計ができます。
 当時はICEモデルを参考にしていました。
 あり方はデザイン思考、やり方はICEモデル。
 この状況が定着して来ると少しずつ授業が落ち着いてきました。
 討議・創造まで自走するグループも出始めます。

                    もう少し続く…
 
 

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