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閑話休題「駆け込み小論文」

 センター試験が近づき、明日から学校が始まる(高校3年生はすでに自由登校になっている学校もありますが)という時にやってくるのがこれ。
 パターンとしては3つ
 「今まで準備をしていないが、急に必要になった」
 「自信があるので添削指導などを受けていなかったが不安になった」
 「必要だとわかっていたが大丈夫だろうと思ってサボっていた」
 
 こうした生徒さんが、しかしそれなりに危機感を持って一生懸命書いてきた小論文(デビュー作)にはこんな共通点があります。
 「設問で求められていることを理解できていない、意識していない」
 「問題文・読み手・書き手が課題を共有できない」
 「書き手の主観、既存の価値観を根拠とした二分法的結論の明示」
 
 一言で言えばこういう感じ。
 「課題設定はないが、結論だけは明確」
 「結論ありきで、都合のよい事実だけを集めて結び付けた構成」
 「論理性には自信がある(自己評価)」

 これは「賛否を明確にする」「賛否から自分の意見を構築する」という極めて古い時代の方法論。現代の小論文ではない(笑)。
 また、個性の有無が合否を決めるという強迫観念もあるようです。
 その結果「逆張り~主観的批判~正義感の暴走~SDGs」という起承転結になります。この「結論はSDGs」ってのも特徴ですね
 
 「…合格できますか」と言われましても、国公立なら「センター試験のスコア次第だね」と返すしかない。事実、このレベルだとセンターで1点でも多く稼いだ方がよい。そしてセンター終了後、過去問を題材に「小論文で落とされないレベル」まで何とかするという「専守防衛×自衛隊戦略」を進めて、後は神頼み。
 本音は、「僕はこんなことをするために教員になったんじゃないん」と叫びたいところです。しかも、私の言葉を持っている生徒さんの志望学部は教育学部(中等教育国語専攻)だったりする。
 これを如何せんでございますが、打開策は上記に示した課題の解決になります。つまり…
 「設問で求められていることを意識する、理解する」
 「前提部分で、問題文・読み手・書き手が課題を共有する」
 「問題文を根拠とした客観的考察(課題発見とその解決~検証)」
 いい意味で「自分の考えを捨てる」ということになります。
 この場合の「自分の考え」とは先入観・既成概念・自己の体験を伴わない価値観など。そういうものを削ぎ落した先に「自分の考えがあるという逆説」ですね。
 また、自分の考えとは「0→1」ではなくてよいわけです。
 専守防衛的小論文では「1→10」、つまり「創造とは組み合わせ」という発想で進めた方が本人も楽なはず。

 自分の個性(0→1)を出そうとして、でも書いた小論文は「1→1」なんですね。「X(旧Twitter)の引用・拡散」と同じ構造。

 というわけで、今日も笑顔で対面添削に励もうと思います。
 頑張れ受験生!
 

 
 
 
 

 

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