自分から離婚したいと言い出して、せっかく購入したマンションも手離して、別居もして自分は自由になっても、夫を自由にはさせたくない。そんな気持ちなんだろうか。離婚届は結局まだ提出していないとか… なんだそれ。 30年、愛されてなかったとでも思ってるのだろうか。彼の不器用さを理解できなかったのだろうか。 妻の座、私に譲ってくれません? なーんて、私もそんなこと言える立場じゃないか。 あなたたちが過ごしてきた30年 彼と私が再び出会うまでの30年 結局どっちも鎖の絆で繋が
彼と付き合い始めた頃に、一度だけ髪を短く切った。前下がりのボブ。基本的にはいつも肩下くらいまで伸ばして、飽きたら切る。そんな感じで特にこだわりはなかった。 そもそも内面も含めて好きだと言ってくれてる彼に、今更この歳になって、髪の長いのと短いのどっちが好き?みたいな質問をするのもどうかと思うけど、でも彼好みの女でいたいという気持ちはいくつになっても変わらないから、ストレートに聞いてみた。 彼は十分過ぎるほど大人だから、「俺は髪の長い女が好き」など見た目重視の高校生みたいな回
美しい女であり続けたい。 伸ばした黒髪と肌の手入れは欠かさない。 体重は10代からほとんど変わらない。 ウエストのくびれも。 手入れが楽だからと言う理由で髪を短くしたり、目立ってきた生え際の白髪や品のない赤茶毛たカラーと傷んだ髪なんてゴメンだ。 ウエストがゴムのボトムスしか履けなくなり、中途半端なチュニックでお腹のぜい肉を隠したり、振袖になった二の腕を出せないからノースリーブは着れないだとかいう醜い体型になるのはゴメンだ。 彼の肩に顔を埋めるとき、柔らかいこの黒髪
聞いてどうなる話を 聞かなければよかった話を 聞かずにはいられなかった。 本当は、何も言わずただ話を聞いて ただあなたのことが心配なのと、広い心で受け止めようと思ってたのに。 全くできなかった。 協議離婚だと聞いても、結局何かが大きく変わるわけでもないこと。 離婚原因、妻は彼の妻であることの苦しみから解放されたかっただけ。彼を知る女としてはわからなくもない。でも私には関係ない。 彼自身はそんな妻への愛と感謝の気持ちが変わるわけでなく、経済的にも余裕のある男だから、こ
「神様、あの人を私にください」 呪文が効いてしまったのだろうか。 あり得ないと思っていたことが現実になった。 私はどうしたらいい? 変わらずそばにいて欲しい。彼は私にそう言った。 変わらない。 愛してる。死ぬほど愛してる。 でも私は何も変えられない… 彼と同じ立場にはなれない… 心が落ちていく… 私は何を願っていたのだろうか…
「神様、あの人を私にください」 有名な不倫ドラマのフレーズ。 手に入らないとわかってるから、ただ呪文のように心の中でつぶやいてた。 手に入れるにはお互いたくさんの犠牲が必要。もう若くない私たちは欲張らず、ふたりの時間だけを大切に過ごしてた。 でもいつか、そう、もう恋愛とは程遠い年齢になった頃にやっと、もしかしたら彼と正々堂々と人生の終焉を迎えられる日がくるかもと、少し笑っちゃうようなささやかな希望を持って生きてる毎日だったのに。 彼は奥さんも愛してる。それは見た目でわか
おはよー お昼よー 帰るよー LINEの合図。その後にかかってくる あなたからの電話。 今日1日の出来事を話したり、 たわいのない会話。 でもそれが日常だったから、 声を聴くことが当たり前だったから。 妻にバレた。相手に迷惑をかけないように ケジメをつけてと言われたと。 もし次があったら、絶対に迷惑をかける。 私への気持ちは変わらない。先のこと を考えたらいったんここで切っておいた ほうがいい。今は2人の時間を止めよう。 言葉に表すのが下手な男が最大限考えて 送ってき
これが最後の恋だ。 これ以上の男はいない。 たくさんの間違いをしながらそれでも生きてこれた理由。 彼と出逢うためだ。 そしてこれは奇跡ではなく必然。 なぜなら私達は30年前に出会っていたのだから。 たとえ、美化しただけの祝福も賛同もされないストーリーだとしても。