田舎と都会

高校を卒業するまでは地元で暮らし、大学生の時は県内で1、2を争う町へ住み、社会人となり日本上位の人口を抱える町へ移り住んだ。地元から離れて生活しているが、機会があれば頻繁に地元へ帰省している。

私が生まれ育った地元の町は田舎である。田舎の中でも山ではなく海側の田舎地域になる。ただ、幹線道路が通っているため、外からの人の行き来があり過疎地域とはなっていない。しかし、主な産業は農業、漁業であり、第2次、3次産業の成長は今のところ見込めていない。

平成の30年間における町としての景色の変化は、バブルの名残のような商業施設が潰れて、日本各地に広く店舗を展開するドラッグストアやスーパーマーケットへと移り変わった。また、道が広く新しくなった。道だけが新しく、それ以外の景色はゆっくりと、ただ確かに少し古くなった。

地元に住んでいた時から、ぼんやりと感じていた周りの景色がゆっくり古くなっていく感覚が、歳をとり、地元から離れる経験を得ることで、より明確に感じるようになった。

町が発行している世帯調査報告によると、世帯数の増加は平成15年位で頭打ちとなり、総人口はここ10年において微減傾向となっている。このデータから受けた印象は、「思っていたよりは人口減少していない」であった。もっと町として衰退しているというのが私の正直な印象であった。

田舎へ行くと、そこは人の生活そのものが目につく。生きていくために必要な、衣食住、移動手段、医療介護施設。それは人が文化的に生活するために必要な要素。一方、都会には人がたくさん集中して住んでいる。都会では、田舎にあった要素に加えて、人の生活へさらに価値を追加してくれる要素に溢れている。まさに都会の魅力とも言える、人を幸福にしてくれるであろう要素。必要な要素よりも、そちらの追加要素の方が目立つところに置かれている。追加要素は無くても、人としては生きていくことができる。しかし、幸福を外に求めた場合、その魅力を振り払うことは難しいのでは無いだろうか。

地元を活性化しようとか、地元の街を元気にしようといった気持ちは私には無いが、これからもゆっくりと古くなっていく地元の町と共に生きていく

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