見出し画像

賢木⑥ 幼な妻。禁忌への執着。(朧月夜、若紫、朝顔女王)GIF付  改


💎朱雀帝の御代の女性たち

🌷弘徽殿女御は 母后、皇太后に。

弘徽殿女御は、
我が皇子である朱雀帝への御代替わりと共に皇太后となられた。

里邸の右大臣邸か、母后として参内の時には梅壺を宿所とされている。

🌷弘徽殿女御の復讐

院がお隠れになって、皇太后の源氏への復讐心に歯止めがなくなった。
院が儚くなられてからは、我が世の春を謳歌し続けてきた源氏のかつて経験したことのない世間となった。
何かにつけて意に添わぬことが増えて、源氏はめっきり人交わりをしなくなった。

左大臣も参内しなくなっている。
春宮時代の朱雀帝に、左大臣と正妻の皇女との間の姫君との葵上を所望したのに、源氏に差し上げてしまったことを、太后は怨んでいる。


故桐壺院の御在世中には左大臣の陰で霞んでいた右大臣が我が物顔でいるのも面白くない。元々親しくもなかった人だから尚更のことである。

源氏は夫人のいた頃と変わらず定期的に左大臣邸を訪れて、若君やお側の女房たちにも行き届いた世話をするので、女房たちも感激してますます細やかなお世話をしている。


🌷朧月夜の君は 御匣殿から尚侍に。

御匣殿(みくしげどの)は、貞観殿の中にあって、衣服裁縫を担当する女蔵人(にょくろうど)が詰めている。
朧月夜の君は、御匣殿の長官でいらしたが、
2月には、尚侍(ないしのかみ)になられた。
前の尚侍が桐壺院の菩提を弔わんと出家されたので、その後任である。

朧月夜の君は出自高く朗らかな美人なので、後宮の数多の妃方の中でも、朱雀帝の御寵愛は格別に深い。
かつて姉君の殿舎であった弘徽殿を、今は朧月夜の君が賜っている。

登花殿は長いこと埋もれたような場所であったが、弘徽殿と繋げて、女房たちも数えきれないほど集まって晴れ晴れとなっている。


朧月夜は持て囃され華めく人となったが、人知れぬ心のうちでは、秘密の夜のことを忘れられず嘆きがやまない。

源氏との極秘の文通は絶えることなく続いている。
人目に付くことを怖れながらも、道ならぬ恋に溺れる性癖で、朱雀帝の後宮の人となってからは、源氏のこの人への情欲はますます募るようだ。


源氏20歳
の春、紫宸殿での桜花の宴の夜、源氏は藤壺宮を慕って、藤壺の殿舎の方に彷徨い出ていた。

隙のない藤壺の向かいの弘徽殿の細殿に、
朧月夜に 似るものぞなき」と口ずさみながら出てきた令嬢に、
源氏は、「私は誰からも許されているのです(皆人に許されたれば)」とささやき、物陰に引き込み、関係してしまう。
姫君は処女で抵抗する術もない。
互いに名乗りさえせず、扇だけを交換して別れたのだったが、朧月夜の姫君は恋に落ちてしまう。

その後の右大臣邸での藤花の宴の夜、令嬢たちの居間の御簾際でふざけるように、源氏が扇の戯れを詠みかけると、朧月夜が源氏を想い続けている気配と通じ合い、文通が始まる。

右大臣は、葵夫人の不幸の後、朧月夜の君を源氏の後妻にもと考えるが、皇太后は許さなかった。
自らが桐壺更衣に、愛児春宮も源氏に、帝の寵で後塵を拝し続けた怨みは深い。

一方、源氏は若紫との新枕に有頂天で、

恋人たちと逢うのも面倒がって、葵夫人の喪に沈んでいる風を装って、言い訳の文ばかりをあちこちに書いていた。 

朧月夜の姫君に入内の話が進んでいると耳にしたのはそんな時期で、並の人とは思っていなかったので残念には思ったが、若紫への愛を分けるほどの気持ちにはならなかった


🌷二条院 若紫

時代の寵児として多忙を極めていた源氏だったが、通う恋人たちにも事情ができて仲が絶えたり、源氏自身が軽薄な夜歩きに飽きたことなどもあり、今はのんびりとして理想的な家庭の人となっている。

北山で一目見て以来、藤壺宮の形代とも思い、4年もの間慈しみ育ててきた少女を、一生の妻と定めて生きていこうと、源氏なりに、真剣な誠実な決意をしての破瓜である。
朧月夜の入内の話を聞いて残念には思うが、掌中の若紫と秤にかける気にもなれない。
ただ目の前の少女が愛しい。
一方若紫の方は突然蹂躙されたショックで、今迄の信頼を悔やみ、源氏を忌み寝込む日々が続いた。

14歳の少女のそんな傷心のことなど、世間は思いも及ばない。
源氏を独占している新妻の幸運を、世間は羨み祝福している。
乳母の少納言などは、故尼君様のお祈りの熱意が通じたのだと思っている。
父君の兵部卿宮との交流も盛んになった。

兵部卿宮の嫡妻の女王方には大した幸運もないので、北の方は心穏やかでない。

🌷朝顔女王

賀茂斎院、弘徽殿皇太后の生された桐壺帝の女三宮がお努めだったが、

桐壺院の諒闇で下がられた。

葵上の従者が六条御息所の車を襲った車争いの事件は、この方の御就任の加茂川での御禊に出た物見車の混雑で起きたのだった。

桐壺院の御弟君桃園式部卿宮朝顔女王が、次の賀茂斎院に立たれる。

帝の御姫君が斎院に立たれることは多くはないが、然るべき内親王様方もおられないのだろう。

朝顔女王は正月で22歳におなりだ。
方違えに行った空蝉の家で既に女房達の噂の的になっていたほどに古くからの付き合いがあり、

今も恋心を抱いている方なので、この度の卜定で神聖な御身の上になってしまわれたことを源氏は残念には思う。
朝顔女王に付いている女房の中将に、以前と変わらず御文をことづけている。

🌷源氏の情炎

源氏は、世の中が変わり不遇の身になったことなどは意にも介していない。
尚侍の朧月夜のことやら、賀茂の齋院の朝顔女王のことやらは、忘れ難いままに、あれやこれやと恋に嘆く源氏である。
尚侍は源氏にとって御兄君である帝の後宮の人であり、
斎院神に奉仕する人である。

源氏は、普通でない恋に捉われがちである。 

この周辺に関する youtube 動画です。 
ttps://www.youtube.com/watch?v=SIMM3qu50EY            

事務局より、禁止されている性的な内容であるから公開中止にするとお叱りを受けましたので、いくつかの画像を外して再掲します。

                        眞斗通つぐ美

いいなと思ったら応援しよう!