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源氏物語 夕顔の巻 概略16(二条院に惟光参上)
・ 惟光が二条院に参上
日が暮れてから惟光が参上しました。
穢れの障りによって謹慎中であると周知させているので、見舞いの人も皆立ったままの短い話で帰って行きますから、思いの外閑散としている中、源氏は惟光を側近くに呼びます。
「どうだった」「助からなかったのか」と言いながら顔を袖で覆って泣き出します。
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惟光も泣きながら、「もはやお隠れになりました」「長くこのままでは差し障りもございますので、明日は日もよろしうございますので、かねて存じおります高徳の老師に荼毘のことなど相談いたしております」
一緒に連れて行った女房はどうしているか尋ねると、
「あの女ももう生きていられないという様子でございます」「自分も死にたいと取り乱して、今朝は谷に飛び込みそうに見えました」
「五条の家に知らせなければと申しますので、少し落ち着きなさい、いろいろ考えなければならないこともある、と宥めておきました」
惟光の報告を聞いているうちに源氏はまたひどく悲しくなってきて、「私も気分がひどく悪い」「このまま儚くなってしまうのか」と言います。
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「この上何をお悩みになるのです」「こうなる運命だったのでございましょう」「誰にも知られてはならぬことでございますから、惟光が万事遺漏なく秘密に手配いたします」
「その通りだ」「そのように考えはするのだが、浮ついた気紛れな戯れ心から人を死なせてしまう罪を負ってしまったのが辛い」
「お前の身内にも知らせるなよ」「少将命婦などは元より乳母尼君にはましてもだ。この上小言を言われるのは恥ずかしくてかなわない」と口止めをします。
惟光は「僧達には話を変えて説明してございます」とまで行き届いた処置の説明をし、源氏は惟光への信頼を新たにします。
二人の嘆きや密談の声が僅かに洩れ聞こえるのを、女房たちは「変ねえ、どうしたことかしら」「行触れだとおっしゃって参内もなさらないのに」「何をひそひそと嘆いていらっしゃるのかしら」と何か腑に落ちません。
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・ 最後の対面をする密談
源氏は、「葬儀はくれぐれも遺漏なくしてやってくれ」と荼毘まわりのあれこれの作法を指示しますが、惟光は「大袈裟にいたしてはならないかと存じます」と言い置いて、行こうとします。
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源氏は惟光の後姿を見た途端に、これがあの女との最後の別れなのだという気がして悲しみが募って、
「不都合だとは思うが、もう一度対面をしないで別れては心が残ってしまいそうだから、私も行くよ」「馬で行くよ」
と言うので、とんでもないことだとは思うのですが、忠義な惟光とて、
「そこまでお考えならば致し方ございません」「今のうちにお出かけになって夜のあまり更けぬうちにお帰りなさいませ」と言います。
夕顔への微行の為に作らせていた目立たない狩衣に着替えて出掛けます。
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Cf.『夕顔の巻』惟光参上
眞斗通つぐ美