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50 なるべく図解付き 若紫の巻⑨ 葵上との夫婦仲
・ 帰京 参内
都に戻ると源氏はまず参内して、帝に、発病から御山に参ってきたここ数日のことを申し上げます。
「随分痩せてしまったね」と帝は源氏の身を大変に御心配遊ばします。
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聖の霊験のことなどの御下問もあるので詳しく申し上げますと、「阿闍梨にもなるべき人であったのに、深く修行一方なばかりに人に知られぬままでいたのだね」「尊いことだ」と仰せられます。
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・ 左大臣のかしずき
舅であり、帝に源氏を託された後見者である左大臣が来合わせました。
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共に退出する時に、左大臣が「お迎えに伺おうと思ったのですが、お忍び歩きかと遠慮してしまいました」「1日2日ゆっくりお休みなさいませ」「このままお送りいたしましょう」と言って離しません。
源氏は嫌とも言えず、左大臣に同行して宮中を後にすることになりました。
自分の車に乗せるのに、源氏に前の席を譲り、左大臣自身は遠慮して奥の下座に座ります。
これから逢わなければならない葵上のことを思うと憂鬱ですが、ここまで恭しく世話を尽くしてくれる左大臣の親心を思うとさすがに心苦しい源氏です。
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・ 左大臣邸
暫くの夜離れの間にも、婿君の来訪に備えて磨き上げられ飾り立てられて、左大臣邸はますます美しく整えられていました。
・ 正妻との時間
源氏が来ても、葵上は、いつものように、自室に籠ったまま出てこようとしません。
父左大臣によくよく言い含められてやっと出てくるのですが、
出てきても、何も言わず、何の親しみも嬉しさも見せず、身じろぎもせずただそこにいるばかりです。
まるでとても美しい絵姿のようです。
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結婚生活はもう6年にもなるのですが、
源氏からしてみれば、
ちょっとした吐露にも今度の山の話などにさえ、興味を持って楽しい会話に応じてくれるようなところが、この年上の妻には全くありません。
この上なく綺羅綺羅しく飾られて、チベスナ顔で固まって言葉も発さず目も合わせない絵姿のままでそこにいることが源氏は息苦しくてなりません。
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うちみじろきたまふこともかたく、
うるはしうてものしたまへば
楽しい受け答えをしてくれて話し甲斐のある人になら情も湧くでしょうが、高貴な置物のように育てられたこの年上の妻は、心を閉じて打ち解けず、他人行儀のままどころか、年を重ねるにつれて寧ろ隔たりが増していくばかりのようです。
源氏にしてみれば気詰まりで気に入らず、ただ心外です。
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眞斗通つぐ美