NPO団体さんのアニュアルレポートを読んだ話
こんにちは。東京は台風一過という感じです。
自分の住んでるところはあまり雨は降らなかったものの、風はそこそこ強かったので、きっちり(?)屋内で過ごしてました。
さて今回はというと、お世話になっているNPO団体さんからアニュアルレポートを頂いたので、その感想というか、思ったことを書いていこうと思います。
以前も現物寄付について書いた回がありましたが、自分が普段はソーシャルの領域から離れた業種で働いているからか、色々と学ぶことがある気がしています。
アニュアルレポートってなんですか
まずは定義を確認してみよう。
平たく言うと、アニュアルレポートの文字通り「1年間の活動報告」という感じ。
単に財務諸表が乗ってるだけじゃなくて、経営方針やメッセージといった定性・中長期的情報も含めたレポートというのが特徴でしょうか。
実際どんなことが書いてあるんですか
もちろん貸借対照表など金のことも載ってはいるんですが、それは本当に最小限で、基本的にはまさに「活動報告」という感じ。
定量的な活動結果(〇件支援できた)はもちろん、活動されているスタッフの皆さんや協力企業の皆さん、支援を受けられている方など、関わる人の声が多く掲載されているのが印象的。
アニュアルレポート自体は色んな営利企業も出しているけれど、そちらはなんとなくファクトベースすぎて無機質な印象があるので、こちらのほうが人間み(?)を感じる。
いや、営利企業のレポートでもメッセージ的なものは載ってるんですが、評論っぽいというか、その人の思いを書いている感じじゃないケースが多い印象なんですよね。
その点、「こういう活動をしてますよ」というファクトだけではなく、「関わる人がこんな思いになってますよ」という情理の部分まで含めた「活動報告」になっているのが特徴と言えそう。
読んでどうでしたか
読んだ第一印象は、(だいぶ失礼な言い方ですが)「なんか想像以上にすごい団体さんに寄付してたんだなあ」という感じ。
自分は以前も書いたとおり、月1,000円のマンスリー寄付とAmazonほしいものリストでの現物寄付をやっている程度なので、がっつり団体の関係者というわけではない。
大学院の縁もあって現場を見せていただく貴重な機会を頂いたこともあるし、活動内容を伺う機会も複数回あったものの、それでも団体の活動の全体像が完全に見えているわけではないのだ。
そんな中で改めてアニュアルレポートという形で全体像を見ると、こんなに多くの方面でこの活動が支持されてるんだなということが分かり、その末席に自分もいるのは貴重な経験だなあと感じる。
言うまでもなくアニュアルレポート制作にもリソースがかかるわけで、例によって経済合理性とかいう話を持ち出すと、一見「レポート作る金で直接支援したほうがよくないか?」と思うかもしれない。
しかし、自分のようなふわっと関わっているレベルの人にとっては、寄付の結果が何につながっているかを実感できるのは、関係継続の大きなモチベーションになるなあと思うし、そうやって支援を維持・強化できるという意味では経済合理性もあるのだろうと思う。
その点、先述のように関わる人の思いがメインに乗っているのが効いているのかもしれない。
「この活動は素晴らしい」というファクトが評論的に書かれていても、今一つ自分ごとにならないというか、共感するところまでたどり着けない気がするのだ。
営利企業のアニュアルレポートとか統合報告書が綺麗ごとっぽく見えるのは、これが原因なのかもしれない。
その素晴らしい活動に対して、実際に動いている人がいて、その人たちがこうやって思っているんだね、ということが分かるからこそ共感できるし、なんというか、繋がっている感が(ただ寄付してるだけにも関わらず)得られるということではなかろうか。
恐らくChat GPTでNPO団体さんのアニュアルレポートを作ることはできないんだろうなあと思う。
「寄付」は「投資」
あとはそうですね…なんか色々書いてきましたが、NPO団体さんに寄付なりなんなりで投資したリターンがまさにアニュアルレポートなのかな、とも感じました。
現物寄付の回で、寄付の対価として「いいことしてる感」と団体への信頼感を得ている…ということを書いたけれども、やっぱり寄付した側も「寄付」などと言いつつ、ちゃっかり非金銭的価値を受け取っている「投資」ということなんだろうと。
NISAでオルカン買ってるだけでは得られない価値は間違いなくある。
20代後半で某大手財団法人さんへ機械的に寄付をはじめたときは、ぶっちゃけ寄付はノブレスオブリージュというか、一方的な施しだよねという考えでしたが、最近はそうじゃないんだなとつくづく感じてます。
寄付した分以上に非金銭的な価値を返してくれるケースもあるし、「寄付」を「投資」にしていただいているのは、ひとえにスタッフの皆さんのご尽力によるものじゃないかなと思います。
今後どうなるのかな
一方で「難しいんだろうな」と思うのは、活動が拡大すればするほどこの「手触り感」をうまく表現して伝えるのは難しくなるハズで、手触り感を維持しつつスケールしていくにはどうすればいいんだろうなと(勝手に)思ったりもしました。
私自身は大学院の縁もあり、スタッフの皆さまとも面識を持たせていただいたりということもあるので、そう疎遠になっていくイメージも無いんですが、ちょっとSNSやイベントで興味持って流れで寄付してみました、くらいの緩いつながりの層と関係維持・強化していくのが、規模拡大においては避けて通れない気もしており。
「間口を広げるほど濃度が下がる」的なジレンマは難しそうですね……。
(完全に評論になっちゃうのでアレですが)
おわりに
やっぱり毎回思うのは、自分の主戦場とは別軸の世界と関われる方法を持っておくのは人生豊かに過ごすのに重要なんじゃないかなあ、ということ。
別にソーシャルとかじゃなくてもいいと思うんですよね。
前職の上司は「50代になったからそろそろ地域に活動の軸足を置かねば」と言って地元の消防団に入ったりしていて、そういうのもいいなと思うし。
ちなみにその上司から当時「企業の基本かつ最大のCSR活動は利益を出して法人税を納めることだ」と教わったため(これは別に間違ってはいないが)、「やっぱり金銭的利益…金が全てを解決する…!」とわりと本気で思っていた時期もあったので、やっぱり人生色々知れたほうが豊かな感じがしますね。
ご参考
「寄付が投資ってなに綺麗ごと言ってんだ」とか「そこまで言うなら一度試してみるのも一興だな」とか思われた場合のために、ご参考まで。
「非金銭的価値」とか「いいことしてる感」とか書いてもなかなか伝わらないと思うので、気になる方は一度やってみるのがおススメ。
一度ポチってみて、寄付物品お届けのご報告メールを頂くと、言ってる意味が体感できるかと思います。
1,000円くらいの物品なら外食1回分なので、食べログでランチの店を新規開拓するようなライトなノリでやれるのもポイント。
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