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JBCC2024を(オンラインで)観戦しました
こんにちは。今年もあと40日を切りました。
全国的にも冬といって差し支えない感じの気候になってきましたね。
自分は12月にまとめてかなり長く休みをいただく予定なので、実はもうちょっとで2024年の稼働が終了する見込みです。
いやあしかし早かったな2024年……なんか気づいたらnoteも41週目らしいし……。
さて今回は、先週本選があったJBCC2024の感想を書いてみようかなと思います。
このJBCCとかいうイベントが一体なんなのかは以下リンクをご参照ください。
平たく言うと、架空のビジネスシーン(ケース)を踏まえてプレゼンをするというやつで、現役大学院生のみが参加できる。
自分も2022年には参加させていただき、2023年は参加しなかったものの、本選に出られたチームの方の壁打ち相手になっていました。
今年はもう卒業しちゃったので当然参加権は無く、面白半分でケースを流し読みしたぐらいだったものの、同じ講義を取ってた方々のチームが本選に出ていたこともあって、本選をオンラインで眺めることにした。あと当日特にやることなくて時間を持て余してもいたし
「言うても学生のプレゼン大会でしょ~」と思うかもしれないが、審査員は投資家やコンサル、大手企業の役員さんが名を連ねてて、質疑もけっこうあるので、傍から聞いてるだけで色々勉強になりました。
その振り返りというか、備忘としてメモしておこうと思います。
ちなみに、どのチームがどうとか、固有名詞でなにか評論らしき怪文書を書くことはないです。
そもそもそんなおこがましいことをする権利もないし、そういうものではないでしょ(語彙力不足)と思うので。
①「リスキリング」とはいったい・・・
人事戦略の部分で、事業ポートフォリオを組み替えるついでに人員再配備を行うために「『リスキリング』をします!」というチームがけっこうあった気がする。
1,2年前には「リスキリング」って言葉が使われていた覚えがないので、やっぱり流行りのフレーズというのもあるのかしら。
まぁ人員構成をいきなりリストラ&中途採用で組み替えます!というよりは色々なもの(人事担当者の胃とか)に対して優しいと思うので、教育でなんとかしようという方針自体は優先度高く検討され得るとは思うんですが、言葉の響きがいいだけに解像度が低くなりがちでは?という印象があった。
極端な話だとは思うが、長年技術畑一筋で工場勤務していた人に対して、いきなりコンサルティング営業を任せるのを「リスキリングでなんとかします」と言われても、それはもはやリスキリングの域を超えてないか?と直感的に思ってしまった。
リスキリングといっても、あくまでこれまで培ってきたスキルをベースにさらに活躍の幅を広げるぜ~、というソフトなものもあれば、完全なるキャリアチェンジを目指した超ハードなものもある気がする。
事業ポートフォリオの組み換えに伴ってということであれば後者だと思うので、もしそうなら、相当の時間がかかる、あるいは一定数辞めていくなど相応にハードな見積りをしておかないと、実態との乖離が出て事故るように思う。
「リスキリング」を魔法の言葉として濫用するとすぐ計画倒れになりそうだなあ、というのはわりと大きな気づきであった。
というか、どんなカタカナ語もビッグワードという意味では一緒だけどさ。「ダイバーシティ」とか「ガバナンス」とか。
流行り言葉を使うと思考停止になりがちというか、思考をサボるために流行り言葉を使っておけみたいなところは実務上よくあるなあと思うので、使うときにはホントに気を付けないといかんと改めて感じました。
「じゃあ最初からカタカナ語なんて使うなよ」と思うかもしれないけど、特に対外説明するときには見栄えが要るので、使わないのも本末転倒なのが難しいところ。
②いざやろうとすると数値計画アバウトになるんだよなあ
審査員から「その計画ホントにできるんですか」くらいの指摘がポンポンされてて、参加者の皆さんはさぞ胃が痛いだろうなあと見てるこっちも胃が痛くなる感じだった。
傍から見てる分にはこんな呑気なこと言えるけど、実際自分でやろうとするとこれができねえんだよなあ。ホントに。
大抵の場合は先に「何がしたいのか」か「いくら要るのか」が来て、それに合わせて財務諸表を書くみたいなアプローチになっちゃって、後になって数字合わせゲームが開催されるパターンだから良くないのかな。
本当は打てるオプションに対してそれぞれ数値予測があって、そこから最善の手はこれですねと選択するという流れになってしかるべきだと思うんですが、やるのは人間なので「この案を通したいよね」とか「見栄え的に丸く収めるにはここ楽観的に書いて帳尻合わすしかない」とか私情を挟み始めるのが実態な気がしている。
実務で中計に関わってたときはまさにそんな感じであった。
偉い人たちが密室で作ってきた売上計画に「質問ある?」って言われて「1人当たりの年間売上数に換算すると、現存しないレベルのハイパー営業パーソンじゃないと達成できないんですが、覚悟の上なんですか」と(当時の)純粋な気持ちで聞いたところ「やってもらわないと困る」などという回答が返ってきたことを思い出した。
当時は言えなかったけど、今だったら「『やってもらわないと困る』と言われても困る」と返しちゃうだろうなあ。
数字合わせゲームを防ぐにはどうしたらいいんでしょうね……。
たぶんだけど、利害関係のない第三者が突っ込みを入れるのが一番防げる気がしている。
そういう意味では、今回自分は完全な傍観者だったおかげ(?)で、過去2年よりも「それ無理じゃね?」と直感で思うことが多かったようにも思う。
一方で実務上はそんな機密情報を利害関係のない第三者に見せるわけがないので、どうしても密室内での議論をせざるを得なかったりもするし……。
ホントはそういうのを突っ込むために外部の取締役・監査役を活用すべきなんじゃないのかなと思うんだけど、実際はこういう人たち向けに装飾すべく数字合わせゲームが開催されてしまうので、難しいところ。
外部コンサル使えばいいのかな?でもコンサル側で数字合わせゲームがはじまりかねんしなあ……
というのと、自分がやっているようなバックオフィス的な領域だと「そもそもKPIをどう置けばいいのか分からん」とか「数値の向上と施策実施の因果関係が測定できない」みたいな話が日常茶飯事なので、まだKPIが置けるだけうらやましいなあ、などと思ったりもする。
やっぱり数字で置けるものはちゃんと丁寧に数字で置いたほうがいいな、というのを改めて痛感しました。
③現状分析をまずしよう
審査員の「それまで右肩下がりなのに、中計になると急に右肩上がりになる」というコメントは身に覚えがありすぎて笑ってしまった。
最終的にはもちろん右肩上がりというか、プラス方向に持っていくような計画にならないといけないとは思うけど、生半可な勢いだけで気軽に右肩上がりで書いてないか?という点は留意しないといけないんでしょうね。
というか右肩上がりを目的化した途端に数字合わせゲーム(1年ぶりn回目)がはじまる。
まず右肩上がりにすることがゴールにあって、次に大喜利大会をやって、最後に数字合わせゲームでフィニッシュ……みたいな流れ。
人(株主)の金で遊ぶなと言われても仕方ない。けど実際こうなっちゃうんだよなぁ…誰も悪気はないハズなんだけど…。
「まずきちんと総括しましょう。これまでダメだったのに改善すると言うからにはそれなりの正当性が要る」というコメントは本当にその通りだなとしみじみ思った。
中計とまで言わずとも目標設定全般に言えそうな気がするが、なんかすごい目標や施策をぶちあげることで現実逃避しているパターンはそこそこある気がしている。
「そもそもそんな上手くいくの?」というのはもちろん、「それでプラスになったとしてもマイナス要因解消してないからトータルでは結果ダメじゃん」みたいな話も出てきそうなので、壮大なビジョンからバックキャストで描くという夢と希望にあふれる手法と同時に、冷静に過去と現状を捉えるというのは両軸で要るんだろうなあと。
おわりに
ここ数年このイベントに参加したり傍観したりして一番勉強になったと思うのは、仕事に対して徹底的にリアリティを追求しないと結果は伴わないな、という感覚だと思っている。
具体的には、人に何かをしてもらうことを想定したときに「自分がそれやれって言われたらできるか?どうするか?」というのを強烈に意識するようになった。
それが無いとけっきょくは絵に描いた餅なんだぜ、というのを審査員の皆さんがこれでもかと伝えているのがこのイベントなんじゃないかなと。
絵を描く力と現実逃避からの脱却をうまいことバランスとって両立させていくのが一番大事なんでしょうね。たぶん。
では!