[創作]間接的に愛を受け取る
「あなたのような若さで、思想書やレベルの高い実学書なんかを読んでいてすごいですね。」
「ありがとうございます。褒めていただいて嬉しいです。私が本を進んで読む理由は、本がなければ、つまり先人の智慧がなければ、私の心は絶対的に自立し得なかったからです。
時として絶望を垣間見るこの世界の中で、その無常の世界の上で、たぐり寄せる希望が一つもないとすれば、私は必ずや人も殺していたし、どんな悪行も尽くし、無闇に尊い生命をあらゆる限り奪い続けたことでしょう。
先人の智慧はそれを止めてくれたのです。それ故に私は本を読みます。先人がいなければ、つまり他者がいなければ、私の心は立脚し得ない。私1人の力では、決して、自立することはできないのです。
読まずには安寧もないのです。読まないでやれている人も、中にいるでしょう。しかしそれも時間の問題。真正面からこの人生の実態を照らされはじめた時には、勇ましい足跡を残した先人の軌跡を追わずには自身を見失ってしまいます。
私は先人の書物を通して、その"優しさ"を享受するのです。」