「身近な人の死」~小学生期~
今回も私の小学生時代のお話。
私が小学6年生の時。
身近な人が、2人立て続けに亡くなりました。
その2人の死を経験した後、何十年も「・・人が死ぬって怖いな・・」という思いしかなかったのですが、今回の振り返りを経験して、その記憶がどう変わったか、についてお話させて頂きたいと思います。
~仲が良かった後輩~
私が小6の時、一学年下にすごく仲が良かった男の子がいました。
私は当時学校で吹奏楽部に入ってたんですが、確か彼もそこにいて仲が良くなった、と記憶してます。
運動神経がとにかく良くて、活発で友達もすごく多い男の子でした。
私と彼は何故か妙に気が合い、吹奏楽の練習の時はもちろん、毎日の全校生徒での掃除の時なども、廊下などで会えば必ず立ち話をして盛り上がる、そんな感じでした。
~突然の知らせ~
それは冬休みの日。
夕方家の電話が鳴りました。
電話に出た母が「えっ・・」と一言言ったかと思うと、後は「・・はい、・・はい」と神妙な様子で話しています。
それは吹奏楽部の連絡網でかかってきた電話でした。
そして電話を切った後、私にポツリと一言。
「・・○○君、死んじゃったんだって」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
そう、その電話は私が仲良くしていた、その一学年下の男の子が亡くなった、という電話だったんです。
生まれて初めての、身近な人の死。
それは何とも言えない感覚。
言ってる言葉の意味は分かるけど、何の現実味もない。
とにかく、何が起こっているのか。
それが分からず、私は泣くでもなく、ただ自分の部屋で1人ボーっとしていました。
そしていつの間にか夕方になり、TVがニュース番組を放送する時間帯。
襖1枚隔てた隣の茶の間でTVを見てた母が「早く来て!」と私を呼びました。
慌てて茶の間へ行くと、母がTVの画面を指さしながら私を心配そうに見つめています。
そのニュース番組では、彼の事故のニュースが流れていました。
運動神経が抜群に良かった彼。
その彼がお兄さんと一緒に、近くのスキー場へ。
そこで兄弟一緒に、かなり斜面のきつい所まで登っていったようです。
そして彼が斜面をスキーで滑り始めてすぐ、足元に大きな雪のコブが。
そのコブに乗り上げてしまった事で身体が宙に浮き、首から落下してしまったとか。
・・彼は首の骨が折れてしまい、即死だったそうです。
そして次の日の新聞にも、地方紙だった為、彼のスキー場での事故死が大きく取り上げられていました。
顔写真も名前も大きく載せられてたその一面。
その顔も名前も、私がよく知ってるものでした。
人が死ぬってこんなにあっけないものなんだ。
そして学校に行っても、当たり前ですがもう彼の姿はどこにもありません。
その後友達づてに、
あの日彼のお兄さんの方からスキーに行こう、と誘った事。
スポーツが大好きだった彼が、何故かのあの日に限って行くのを渋っていた事。
今お兄さんが、そのせいで後悔して自分を責め続けている事。
そんな事を聞きました。
しかもその少し後に町のお祭りがあったんですが、
人混みの中に「亡くなった○○君の姿を見た!」という人が続出し、
小さな町がちょっとしたパニックになった事も覚えています。
とにかく彼の死は、子供ながらにかなりきつい出来事でした。
その後しばらくは、あれだけ熱中していた放課後の吹奏楽の活動も、行けば彼の事を思い出してしまい
練習場所である体育館に行くのも、かなり憂鬱でなかなか足が向かなくなってしまいました。
~彼が亡くなって1か月後~
彼が亡くなって1か月後。
少しづつ、私自身も周りも落ち着きを取り戻してきたか、と思っていた頃。
何と。
次は彼のクラスの担任の先生が亡くなりました。
あの当時、多分先生は30代位だったと思います。
面白い事を言って生徒たちをすぐ笑わせてくれる優しい男の先生で、私は学年が違うにも関わらず先生の事がすごく好きでした。
廊下で遠くに先生の姿を見つけると、走って行って自分から話をしに行ってたくらいです。
その先生まで亡くなってしまいました。
自宅のお風呂場で石鹸で足を滑らせ、頭を強打した事が原因、での死亡。
それを聞いた時、ショックながら「そんな事が本当にあるの!?」と正直信じられませんでした。
1ヶ月の間に、身近な人2人の死。
それは、本当に本当に突然過ぎました。
この2つの事は、当時の私にとってどうしても受け入れられない出来事だったのでしょう。
結局、先生が亡くなった直後からの記憶が、今考えてもしばらくの期間すっぽりと抜けてしまっています。
後で母に聞いた話ですが、あの頃の私は学校から帰っても友達と全く遊ばなくなり、そのまま自分の部屋に入って、ぼ~っとしている毎日だったそうです。
そしてしばらくの間、私はこの出来事を意図的に思い出さないようにしていたように思います。
そして時が経ち気が付けば私は、自分の中の寂しさや悲しさなどまるで無かったかのように
「死ぬって本当にあるんだ。すごく怖い」
そんな短絡的とも言えるような感情に、大好きだった2人の「死」という出来事をそっくりすり替えてしまっていました。
~新しい解釈~
実は今年に入ってからも、私の身近な人が亡くなりました。
彼女は同じ会社に勤めていた、20代前半の女の子。
正に「元気ハツラツ!」という言葉を絵に描いたような、明るい笑顔が印象的な子でした。
持病なども全くなかった彼女。
・・それがある日。
流行病に感染。
そして2ヶ月も経たない内に彼女は、あっけなく亡くなってしまいました。
「彼女の死」などこれっぽっちも想像してなかったので、亡くなった当日はもちろん、正直今になっても実感がありません。
でも毎日会社に行っても、当たり前のようにそこにいた彼女は確かにもういない。
あ・・、「人が死ぬ」って、本当に突然来るもんなんだ。
1人ぼ~っとそんな事を考えていた時に、思い出したがあの小学校時代の身近な人の死。
あの時は幼過ぎて事実を受け止めきれず、私の中でただ「怖い思い出」にすり替えてしまった。
だけどやっぱり世の中には自分の意志とは裏腹に、突然命を奪われてしまう事が現実としてある。
そう思ったら、毎日無事1日を終える事が出来る、ってだけで実は奇跡なんじゃないか。
だって毎日流れてくるニュースを見てたって、「え・・、そんな事が起きる!?」って事で実際亡くなってる人がいる。
私の身近な人の「死」だって、正にそうだった。
そう思ったら、イヤな事があって腐っちゃうような日でも、それでも無事一日を終えられた事は、やっぱり凄い事だ。
そんな風に自然と思えてきました。
毎日無事に過ごせるって事は当たり前の事じゃない。
そんな当たり前だけどなかなか気づけない事。
それに気づかせてくれた「悲しく、そして辛い出来事」に、改めて深い感謝。
そして大好きだった3人に、心からご冥福を祈りたい。
そう思わずにいられない、今回の振り返りでした。
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