商業デザインの「好き・嫌い」問題を考える
カタログ、会社案内、リーフレットなど、商業デザインと言われるジャンルにおける、デザインの好き・嫌い。個人的には意味がないと思っていました。
こんなヒアリングをするデザイナーがいます。「どんなフォントにしましょうか?ゴシック?明朝?」この質問もあまり意味がないと思っていました。フォントを選ぶ際、どこまでお客さんが考えているか。あまり深く考えていなくて、単に自分の嗜好性で答えると思うからです。だから、この質問するデザイナーに「?」を感じるし、はたして、この答えをベースにしたデザインが、その目的を達するに値するものか疑問にも思うからです。
私見ですが、商業デザインにおけるデザインアプローチって以下を整理することからだと思います。
・目的は何か?
・誰がメインターゲット何か?
・どんなことを伝えて、どんなアクションを取ってほしいか?
・業界の傾向は?
・どんなイメージをターゲットに抱いて欲しいか?
・企業のブランディングメッセージは?
こういったことから、デザインの方向性を決めるべきだと思うから、本来はこういったことをしっかりとヒアリングすべきだと思います。そして、先ほどの例ではフォントは聞かず、このような情報の中から、表現の方向性を決め、その方向性に沿ったものとしてフォントが導かれるのが正しいアプローチだと思います。
これは多くのデザイナーやデザインに携わる人が考えていることだと思います。
商業デザインのゴールはクライアントの目的を達成すること。そのためのアプローチを進めるのが筋だと思います。
ということをいつも思ってきましたが、最近は好き嫌いで考えるのも有りかなとも思っています。
普段使うアイテム。カタログやリーフレット。嫌いなデザインよりは好きなデザインの方が、モチベーションも上がるでしょう。それに例えば社長さんがデザイン判断する場合、いろんなデザインが社長さんの「好き」という方向性でまとまっていることでしょう。いわゆる社長の嗜好性が、デザインの方向性でもあるので、その嗜好性に沿うことで会社にデザインブランディングに沿うことができると思うからです。
それって必ずしも悪いことではないのかな、と思います。
それと仕事において重要な一つに「早くゴールにたどり着く」があります。効率性は大変重要なことなので、好き嫌いでそれが「早くだどり着ける」のなら、絶対に活かすべきでしょう。
好き嫌いがゴールへの影響が強そうなクライアントはそこを押さえながら、目的を達成できるデザインアプローチをする。好き嫌いの嗜好性が少ないクライアントは、こちらでロジックをしっかりと組み立て、そして相手の「想像を超える」デザインでゴールに向かっていく。
それが良いのかなと最近、思います。
とにかく何事も柔軟に。自分の考えが凝り固まってしまうと成長も可能性も成約されてくると思うので。自分の柱を持ちつつ、最近は柔軟に考えることも大切だなと思っています。