道端に、片割れ(エッセイ)
道を車で走る。
交通量が多くても少なくても「なんで?」と思う道端の落とし物にたまに出会う。
それはタオルだったり、手袋だったり、何かのゴムの破片だったり……けれど、中でも1番「なんで?」と思うのは、片割れの靴だ。
一足の片割れだけ、道端ににポツン……と落ちている。
「えっ?なんで?」
私は、そんな片割れの靴を見る度に??と浮かんでは来るものの、最近はこう思う事にしている。
「軽トラックみたいな車から落っこちたんだろうな〜」
ここでメルヘンな、絵本の様な可愛らしい想像はしないし、出来ない(笑)
あくまで現実味がありそうな理由を適当につけて、うん。うん。と自分で納得するだけだ。
けれど、道端にはどうして片方だけ…片割れの靴や手袋なんかが落ちているのだろう。
中には運転する時に気をつけなければ行けない様な場所に落ちていたりしている。
大都会ではどうなのだろう。
田舎だけの光景だったりするのだろうか?
私は、メルヘンだったり絵本の様な想像は出来ない。と、さっき書いたばかりだが、片割れの落ちているモノだけには感情移入し、妄想してしまう。
「……相棒……何処行ったの?」
「……今生の別れ……だろうな……」
なんて言葉が、落ちている靴や手袋から聞こえてきそうだとは思っている。
道端に落ちている片割れ。
それに、なんとも言えない哀愁を感じてしまうのは、私だけだろうか?