
Photo by
inagakijunya
風を掴んで(エッセイ)
空を飛ぶ。
高く跳ぶ、風にのって、掴んで、飛んでいく。そんな鳥の姿を空を自分の目に映した時、何とも言えない高揚感と自由さを感じてしまう。
ある晴れた日。
けれど、風が少し強めに吹いていて日。
私は球場から大きく広がる空を見つめた。
球場に座って見る空は、まるで全ての邪魔になる障害物が天井から取り除かれた様に、空が大きく…近く見える。
開けている空を見ていると、必ず空には鳥が現れる。
風が吹いている時が、鳥の能力の本領発揮といった所だ。そよ〜そよ〜と空高くを飛びながら風の向きや強さを確認して風を掴み、どんどん、どんどん空高く舞い上がっていく。
上昇気流を掴んで飛ぶ飛び方は『滑空(グライディング)』というそうだ。けれど、この飛び方だと高く飛ぶ事を維持する事ができない為、上昇気流を使い、少ない労力で高度を上げる飛び方なんだそうな。
風を掴んで飛んでいる鳥は、何だかとても自由で力強く、地面を踏みしめて進む事しか出来ない人間の私は、そんな鳥の姿を羨ましくも思う。
本当に力強く、けれど軽やかで、何処までも何処までも羽と風を使って上昇していく鳥の姿。
その浮遊し、羽ばたいている姿を、私はずっと見つめていたいと思ったし、いつもより少し空に近い高さにある球場に腰を下ろし、これから始まる試合にワクワクしながら、そんな空を飛ぶ鳥を見つめていたのだった。