失敗とビーフシチューパイ(エッセイ)
もう、ただ一言。
ごめんなさい。
私はそれだけを言いたくなった。
マクドナルドで読書を少ししようと入店。
それは、注文するときに起きた。
私は内弁慶気質があり、外だと声が小さく通らない。お腹に力を入れて発声をしないと駄目だと思っている。
それに、直接注文することが、少し苦手な私でもある……。
そんなわけで、私はいつもより大きい声で発声したものの、今の時期でマスク越し、それに店内は少しパタパタとしていて騒がしかった。
私の声を店員さんに届かせる事に失敗。
『ビーフシチューパイとアイスコーヒーのS一つ下さい』
『グラコロ単品とアイスコーヒー2つ』
…………駄目だった。
私は急いで訂正をして、無事に購入出来た訳だけれど、なんというか、もう本当に不甲斐なさと店員さんに申し訳ない気持ちで頭はいっぱい!!
美味しいビーフシチューパイを頬張りながらも頭の中は謝罪の言葉のオンパレードで何処かへ旅立っていってしまう。
あ〜、違う。違う。
今はビーフシチューパイを味わわないと。うん。本当に美味しい!!
そんな事を思ったのもつかの間。
また私は謝罪の旅へと向かっていく。
もう本当に嫌だ。
自分が嫌だ。
声が嫌だ。
本当に畜生だ。
ビーフシチューパイは私の好みにバッチリ嵌まり、また食べようと思わせるとっても魅力的で魅惑な食べ物だった。
それは間違いない。
けれど、私の中の頭はずーーっと、謝罪の言葉を繰り返す。
もう本当にごめんなさい!
お手間とらせてすみませんっ!!
私のこころは静かにそっとハートブレイク。
美味しいビーフシチューパイの香りと共に、私のほろ苦い記憶は蓄積されていくのだった。