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探しものと再会(エッセイ)

私には、探していたものがあった。
けれど見つからなくて半ば諦めていたもの。

頭の中には何となくそのモノの記憶は残っているし、もし見つからなくても平気だよね?なんて思いながら、やっぱり何処かモヤモヤしていた。

本当は思っていたのだ。

『実物でみたい』と。


そんなある日。

私は、中くらいの三段ある引き出しの整理をしたいと思い立った。

透けて見えている引き出しの中身は何処かゴチャゴチャとしていて、それを見ているのがフッと嫌になり

「うん。断捨離しよう」

という気持ちになった私は、居る要らないの選別を開始した。

すると、割と多くのモノが役目を終えて資源ゴミの仲間入りする事になり、引き出しの中身はスッキリとしてきた。

そして三段目へと入っていき、数枚の写真と落書きの紙が入った袋を取り出した時……



「あ!あったよ!!」


見つけた。

私が、ずっと探していたモノ。

『小さい頃の私と、母方の実家で暮らしていたマルチーズの「うみ(仮名)」が同じ段ボールに入って写っていた写真』
が出てきたのだ。

「い、嫌、ここにあったの〜!」

我ながら可愛い(笑)まだ小さい私と、こちらもまだ小さいマルチーズのうみが写っている。

私が、ずっと探していた一枚。

見つけた写真を、私は少しの時間、眺めていた。断捨離の手を止め、一人と一匹の可愛さを噛み締めていた(笑)


「ずっと、ここに居たのにさ」

そんな写真の声が聞こえてきそう。


もう見つけられないと諦めていても、心残りのあった写真。

まさか、ここで再会できるなんて。

再会した写真は、とりあえず最近購入したポストカードを入れる半透明の正方形の箱の中へと入れた。

たった一枚の写真が増えただけなのに、何処か小さくキラキラと輝いて見える。

分かりやすい場所へと半透明の箱を置き、いつでも見られる様にした。


良かった。
見つかって良かった。

捨ててなくて良かった。


こうして再会出来た事。

本当に嬉しい。


可愛い、まだ無垢な私も、キュルン、チョコンとしている海も見られるし、これこそ本当の『一石二鳥』(笑)



ほんと、


見つかって良かった。

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