日が沈んだ後の校舎(エッセイ)
私は、高校では『イラスト部』に所属していた為、遅くても夕方5時頃には学校から家に帰っていた。
けれど、冬に近付いてくると明るかった空はすぐに暗くなる準備を始め、あっという間に暗くなってしまう。
そんなイラスト部という緩い文化部に入っていた私だったが、私が高校生の頃は簿記を授業で選択していて、その試験が近くなると、普段より遅く学校に残る毎日になっていった。
そんなに勉強をしても、元々勉強が出来る方ではなかった為、全商1級に受かる事は出来なかった私だが、この時、いわゆる日が落ちた後の校舎が、どんな風に見えるのかを知った気がする。
そして、普段は運動部が校内合宿で使用するセミナーハウスにも足も踏み入れた。運動部の部員には慣れた景色かもしれないが、私には何処か新鮮に映っていたのだ。
そして、そんな日の暮れた学校は、昼間とは違う形や景色を私に見せてきた。
簿記の試験勉強をしていた時の事。
同じ授業を選択していた友人と、自分達の教室まで必要なモノを取りに行く事があったのだが、必要最低限しか照らされていない校舎は、薄暗くて何処か不気味。
「明るいけど、暗いよね〜」
「ねー、……おばけなんて出たりしてっ!!」
「うそっーー!!!」
何て、くだらない事を友人と話していたが、ココロの片隅では楽しいなと思っている私が居て、非現実的な雰囲気が私の名前のない感情を刺激していた。
セミナーハウスに向う時もそうだ。
セミナーハウスへは体育館を通って行かなければならないのだが、そこでは体育館を使用している運動部の声が聞こえ来る。
床にシューズが擦れる音。
床を力強く踏み締める音。
ボールが跳ねる音。
私が高校生活では聞いてこなかった音で溢れていた。
日が暮れた、日が落ちた後の校舎は、何処か私の日常とはかけ離れていた。自分で選んで決めた事だったが、このnoteを書きながら、活発的に動いていた部活に、何処か羨ましさが滲んでしまっている私が居る。
日が落ちるまで何かをする。
それは、青春と言われる時期に感じた、思い出深い日だったのかもしれない。